そのダンジョン、解体します

HerrHirsch

松代ダンジョン解体工事

「時はきた…」

よぉ、野郎ども。野郎じゃないのもご機嫌麗しゅう。俺は【破壊神】の名を持ちし冒険者、苣木〔すがき〕真〔さな〕。あ、女装してるけど男ね。ち◯こついてるし、心も男だから。ただ、女装の方が楽なんよね、うん。

黒基調に白いアクセント、青いリボンのAラインスカート。あとはガーターベルト付きのニーハイ履いて、んでスカートの下はトランクス。ちなみに半袖の先は白い長手袋だぞ!かっこいいだろ( ̄^ ̄)

あと容姿について言うと、とうぜん胸は無い。肌は日本人にしては白めで、あと黒髪碧眼ね。かっこいいだろ( ̄^ ̄)

身長?145cmだが?舐めてんのか?あ?

…まぁいい。俺だって分かってんだよ、どうみても女よりの見た目だって。声変わりもしねぇから女に間違われるしよぉ…困っちまうぜ

さて、んなこたぁどうでもいいんだよ、今、俺は長野県松代の巨大ダンジョンに来ている。【松代ダンジョン】と言えば、それなりに世界的にも有名なダンジョンだ。何より、その深さ。なんと586階層もあるときた。えぐいねー

んで、行こうか?俺様の俺様による俺様のための戦い。松代ダンジョン解体へ!



「松代ぉ?」

俺は、日本冒険者協会と国土交通省迷宮管理局の連盟で届いた依頼書を睨む。

「はい。昨今のダンジョン情勢と、国際情勢を鑑み、解体をご依頼させて頂く次第です。」

「あー…ダンジョン過多だもんな、うちの国」

ダンジョンは、基本的にマグマが原材料。数年前に飛来した宇宙生物が、大量に蠢いて作り上げているというのが今の主流学説。なんか冥王星にまで作ってるらしいぜ?少ないらしいけど。

んでもって、日本とかアイスランドはダンジョンのホットスポット。これの対策のために国家予算もぎちぎちな我が国にすりゃ、日本の中心で堂々と居る松代ダンジョンは目障りなんだろう。

「解体の条件は?」

「…無条件、です」

「え、まじ?」

解体には危険がつきもの。下手に壁をぶち破れば家が倒れたりもするし、水道管とか色々ある。最悪の事故だと、ガス管に火炎魔法入れて100人近い死者が出てる。

…ってのに、無条件たぁ…

「…燃えてくるじゃねぇか。んで、目的は?」

「ダンジョンコアの破壊、それのみです。建物自体もお好きなように。ドロップした素材も全て権利をお渡しします。」

「あとで回収してくれんのか?」

「安全を確保しつつ、可能な範囲で、ではありますが、それも契約書に。」

まじか…これ、受けないわけにはいかねぇだろ…

「よし、前向きに検討する。いい返事を待っとけ」

そう言って俺は、目の前の薄い茶髪ロングヘアーに黒目のお姉さんに手を出す。

「ありがとうございます。上司にも伝えておきますね」



ってなことがあって。

「飛ばして行くぜぇ…」

俺は、諸々の武器が入った、キャリーケースを引きながら、松代ダンジョンの門前に立った。

「…苣木真、21歳、男性!これより、日本冒険者協会ならびに国土交通省迷宮管理局よりの依頼に基づき、本ダンジョンを解体する!」

右手に持った依頼書を掲げて、宣言する。この素晴らしい戦いの始まりを告げる音こそが、この門を開く合図だ。

ぎりぎりぎり…と、そんな音が鳴り響きながら巨大なゲートが開く。ここの担当公務員が、異動前最後の仕事をこなしたわけだ

「…お疲れさん」

そう呟いて、俺はダンジョンへ潜る…

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