第6話 ゲーム廃人の熱いオタク語り

「という訳で、お前と話に来た」

「……どういう訳で?」


 レギオンの業務が終わる夕方、ルーナは早速ヴェルの部屋を訪ねていた。

 流石のルーナも本人を目の前にして”お前がレギオンに居る事に納得出来ないから話に来た”とは言えず、ただアレンに話して来いと言われたという部分だけを伝えたのだ。

 当然それだけでは話の流れなど理解出来る筈もなくヴェルは困惑していたが、わざわざ訪ねて来た人をよく解らないから追い返すという選択も出来ないヴェルは疑問には一旦蓋をしてルーナを迎え入れる事にした。


「取り敢えず立ち話もなんですし、どうぞ」

「失礼する」


 そう言って部屋に入ったルーナがまず目にしたのは壁の一面を埋める大量の棚とそこに並べられたゲームのパッケージ、次に電子的な光を放つテレビとそこに繋がるゲーム機、ルーナにはそれらがどういった物かは分からなかったが、それがレギオン内で噂になっているヴェルが夢中の"ゲーム"と呼ばれている玩具だというのは認識していた。


「それがお前が一日中部屋に籠ってやっているゲームというやつか?」

「はい、もしかして副団長もゲームに興味が湧いて「それはない」あっ、はい……」


 久しぶりにリアム以外の遊び相手が見つかるかと期待したヴェルだったが、ルーナの即答に意気消沈する。


(まぁ科学技術の無いこの世界ではビデオゲームは未知の存在だ、訳の分からない物を受け入れられないのは仕方ない。そういう意識改革から始めて行かないとゲーム仲間ってのは作れないよなぁ)


 ゲーム仲間は欲しいが、自分の方からぐいぐい行くのは柄じゃない。

 悩ましい問題だとヴェルがうんうん唸っていると、一通り部屋の中を見終わったルーナが質問を投げ掛けて来る。


「しかし凄い量だな、このゲームとやらはそんなにも頻繁に異界から流れ着いてくるものなのか?」

「あ、いえ、ここにあるのは漂流物ではないですよ、全て貰い物です」

「貰い物?」

「はい、子供の頃にとある人から貰ったんです」

「この量を……?」


 その言葉と共にルーナは壁際の棚に大量に並べられたゲームのパッケージにもう一度視線を向ける。

 パッと見ただけでも百や二百を優に超えるその数に圧倒されていると、ヴェルが訂正を入れる。


「そこにあるのが全部ではないですよ、そこに並べてるのはプレイ済みのゲームです」

「ぷれい、済み?」

「既に遊んだことのあるゲームって事ですよ、未プレイのものはこっちに」


 ヴェルが懐に手を突っ込むと、魔術の発動の気配を察知してルーナが反射的に身構える。

 その行動にヴェルは警戒させてしまったかと苦笑いを浮かべながら、これ以上警戒させないようゆっくりと懐から一本のゲームソフトを取り出す。


「未プレイのゲームはプレイ済みの物と混ざらないように魔術で収納してるんです」

「な、なるほど……」


 ヴェルにとっては何気ない行動であったが、ルーナは声が上ずってしまう程に驚愕していた。


(今のは空間系の魔術か、然も当然のように呪文の詠唱無しで発動させるなんて、コイツの力は異能だけではないという事か)


 魔術の中でも空間系は高度な魔術として知られており、基本の魔術の全てを完璧に習得した魔術師でも空間系の魔術は扱いが難しいと言われている。

 高位の魔術師であれば空間系の魔術を扱う事は可能だが、ヴェルのように詠唱も無しにとなれば話は別、というかそんな事が出来る魔術師の話なんてルーナは聞いた事がなかった。


 改めてアレンがヴェルをレギオンに留め置きたい理由を理解したルーナだったが、依然として納得には至らない。


「ところで、副団長の話というのは?」

「あー……特に話す内容を決めていた訳ではないんだ」

「え?」


 本当に何しに来たんだよという言葉が喉まで出掛かったものの、既の所で飲み込む。


(兄貴から話して来いと言われたから取り敢えず来ただけって感じか。そもそも兄貴はなんで俺の所に副団長を来させたんだ? あの兄貴が意味も無い事するとは思えないし、うーん……)


 どうしたものかとヴェルは一頻り悩んだ後、急な来客で一時停止したままのゲーム画面とその脇に置かれた空のパッケージに視線が向く。

 どうせ話す話題が無いのなら、こっちの好きな話題を出させて貰おうとヴェルは置いていた空のパッケージを手に取る。


「副団長、これ」

「これは、何だ?」


 急に差し出されて反射的に受け取ってしまったルーナは手に取ったそれを見て目を丸くする。


「俺イチオシのゲーム『エクソダスケージ』、レトロな縦スクロールのシューティングゲームです。人類史が刻まれ始めてから数十億年という時が過ぎ、人類はコンピュータによって完璧に制御されたディストピア、通称"鳥籠"の中で支配されながらも人類同士で争う事もなく平穏に生きていた。しかしそんな平穏も永久には続かなかった……そう、地球は寿命を迎えつつあったのだ! 人類は滅び逝く地球からの脱出を計画するも地球と人類の繁栄をプログラムされたマザーコンピュータは人類が地球外へ脱出する事を許さない。人類はこの鳥籠から逃れ、未来を掴み取る為にオペレーション"エクソダスケージ"を発令させる!――ていうのがあらすじ、説明書の最初に書いてあるやつです。まぁ探せば何処にでも在るような在り来たりな舞台設定とか如何にも古臭い感じとかはあるんですけど、それが良いんですよねぇ」


(何処が?)


 ルーナにとっては未知の単語が連発されていただけに何処が在り来たりなのか、どう古臭いのか全く分からなかったが、そんな事よりもルーナには気になる事があった。

 それはヴェルに手渡されたゲームのパッケージ、異世界より持ち込まれた物の為、当然そこには異世界の文字が書いてあり、ルーナはそれを読む事は出来ない。

 しかしシューティング、レーザー、ボム、それらを読む事は出来なくても、どういう訳か事は出来た。


(読めないのに何が書いてあるのかは解る。それだけじゃない、全くの未知のものである筈のなのに、これはこういうものなのだというのが頭に浮かんで理解出来ている)


 パッケージ裏の情報を一通り見終わった後、ヴェルが言っていた説明書の最初に書いてあるあらすじを見る。

 口頭で説明された時は全く頭に入って来なかったが、直接見てみるとスッと頭の中に話が入って来る。

 在り来たりとか古臭い感じというのまでは理解出来なかったが、それでもヴェルの言っていた事の凡その意味は理解出来た。


「……なんだこれは、一体どういう仕組みなんだ?」

「言葉は読めないのにその意味は理解出来るから驚いたでしょ。"言葉が伝わらなきゃゲームが楽しめないでしょう?"ってゲームをくれた人が誰が見ても理解出来るように仕込んどいてくれたんです」

「その理由は兎も角として、これは凄いぞ! 文字が読めなくてもただ眺めるだけで意味が理解出来る、これを魔術学会で発表すれば「発表なんかしませんよ」――何?」


 キッパリと、強い口調で告げるヴェルにルーナは思わず顔を顰める。


「仕組み自体は理解しているし再現も可能ですが、俺はこれを世間に広めるつもりは毛頭ありません」

「何故だ? 自分が発明した訳ではないからか?」

「それもありますけど、単純に俺に得がないというか」

「得ならばあるだろう。これを発表すれば富と名声が手に入る、お前はそれが欲しくないというのか?」

「要りませんね、名声なんてあったところで何の意味も無い。少なくとも俺は"天才魔術師"だなんて持て囃されるのは懲り懲りです」

「……ならば富はどうだ?」

「名声と一緒で要りませんよ、そんな大量にあっても使いきれないですし、どれだけ金を積んでも俺が欲しいものは決して手に入りませんから」


 そう言って寂し気な表情を浮かべるヴェルの事が気になったルーナは更に問いを投げる。


「ならば富も名声も不要と言い切ったお前が欲するものとは、一体なんだ?」

「エクソダスケージの続編」

「……は?」

「いやだからエクソダスケージの続編ですよ! 人類は地球脱出の手段として亜空間転移装置を使おうとするんですがマザーコンピュータが出す妨害電波の所為で宇宙船の転移先が絞れず妨害電波を無効化する為にマザーコンピュータの破壊に向かうんです。しかしゲームの終盤いままで自分達がマザーコンピュータであると思っていたものが実は偽物で本物のマザーコンピュータは地球の核として存在していたと判明するんですよ! 地球の核である本物のマザーコンピュータを破壊すれば当然地球は寿命を待たずして滅びてしまう。でもマザーコンピュータを破壊し妨害電波が消えれば地球が崩壊する前に亜空間転移装置で人類は脱出する事は出来る。問題は亜空間転移装置と宇宙船が地表付近に存在し地球の核までマザーコンピュータの破壊に向かった者を待つ猶予まではない事つまりマザーコンピュータの破壊に向かうという事は人類の未来の為に滅び逝く地球と運命を共にするという事なんです! 主人公は人類の未来を紡ぐ為に単身でマザーコンピュータの破壊を決意し見事これを破壊して人類を乗せた宇宙船を地球外へと脱出させるんです!」


 先程の愁いを帯びた表情は何処へやら、興奮冷めやらぬといった様子で嬉々として語り出したヴェルにルーナは呆気に取られてしまった。

 その間もヴェルの語りは止まらない。


「これにて感動のエンディングかと思いきやスタッフロールの最後に"こうして人類は次なる戦争の舞台へと自ら飛び込んでいくのだった"って出て来るんですよ!? こんなん間違いなく続編出るやつじゃないですか! なのに続編がどこにも無くて! 師匠が入れ損ねたのかなとも思ったけど師匠はシリーズものはキッチリと揃えてくれる人だったしそうなると考えられるのは続編が発売されなかったという事で……もぉぉぉぉ! こんな一文をぶっ込んでおいて続編がないとか嘘だろ!? 気が狂いそうだよッ!」


 傍から見ればもう狂っているというツッコミが飛んで来そうな熱い語りを披露したヴェルは言いたい事を言い切ったのか落ち着きを取り戻す。


「ふぅ、すみません、熱くなりました」

「……取り敢えず、お前がゲームにしか興味が無いという事は良く分かったが、こんな便利なものを広めない手はないだろう」

「便利、ですか」

「なんだ? 随分と含みのある言い方をするな、何か言いたい事があるのか?」

「便利だからと何でもかんでも直ぐに取り入れようとするのは安易と言わざるを得ません」

「なんだと?」

「この技術は文字に意味を込め、意味を込められた文字を見た者にその意味を理解させるもの、つまり誰もその文字の意味を理解していないものには使えないという事です」

「それの何が問題だと言うんだ?」

「仮に文字を読まなくても見るだけでそこに込められた意味を完全に理解出来る技術が広まったとして、その時に人類はどうなると思いますか?」

「……分からない」

「繁栄と衰退は表裏一体、嘗ての人類は剣や魔術も無しに、魔獣を相手にその辺に転がっている石と己の肉体を武器に生存競争を勝ち抜いて来た。しかし文明が発展した今では人類は金属製の武具を身に纏い、魔術を使う事でようやく魔獣に対抗出来るかどうかという有り様、もちろん総合的な話であれば人類は力を付けたという事になるのでしょうが、昔と比べて肉体的な強さは失われてしまったのは間違いない」

「何が言いたいんだ、ハッキリと言え」

「この技術が広まった場合、人類は文字を読む事が出来なくなると言いたいんです」

「なっ!?」

「見るだけでそこに込められた意味が理解出来るのだから、文字を読む意味は無いし、読もうとする人間も居ない、そうして文字を読むものではなく見るものだという認識が広まってしまえばもう終わりです。例えば古代の遺物が発掘されたとしても、読み解く力を失った人類では古代語を理解する事は出来ないでしょう。人類が理解出来るのは意味を込められた文字だけになってしまうという事です」

「…………」


 ヴェルの言ったような事が実際に起こるかは分からない、正直に言えばヴェル自身これはかなり極端な例であると思っていた。

 しかしこの技術は人の在り方に大きく影響を与えると思っており、だからこそこの技術を広める事を良しとはしなかった。

 一方でルーナの方はただ感じたままに、便利だから広めるべきだと安易に考え、その先の未来までは思い描けなかった。

 ヴェルは想像出来たのに自分は出来なかった、その事実にルーナは悔しさを噛み締める。


「お前は、普段からそんな風に世界の事を考えながら生きているのか?」

「普段からって訳じゃないですけど、何か新しい事を知る度に"もしこれが世界に広まったらどうなるんだろう?"って妄想は良くしてますね」

「そうなのか……」

「ふふ、これも"ルーエス"をプレイしたお陰だな」

「ルーエス?」

「あ、副団長も気になります? えーっと、確かルーエスはこの辺りに……あったあった」


 ゲームソフトがずらっと並んだ棚から一本のソフトを取り出すと、ヴェルはそれをルーナに差し出す。


「『Ruined aesthetics』ってターン制のストラテジーです。このゲームが他のストラテジーと違う所は"如何にして繁栄するか"ではなく"如何にして滅亡するか"に焦点が当てられているところなんです。普通は外国に負けないようにどんどん自国を発展させていくものなんですが、このゲームの場合は迂闊に発展させると国が内側から崩壊する危険性も孕んでいるんです。さっきも言いましたけど繁栄と衰退は表裏一体、何かを得れば代わりに何かを失う事になり、それは国民の反感や堕落に繋がり、やがて国は滅ぶ事になる。だから如何にして綺麗に滅ぶか、国にとっての最良の終わりとは何なのか、それを考えさせられるとっても深いゲームなんですよ」

「……結局はゲームか」


(この男も意外と深い事を考えているのだなと少しでも感心してしまった自分が恥ずかしくなる……しかし例え出所がゲームだったとしても私が感心をしたのは事実、単なる玩具だと思っていたが、案外得るものもあるという事か)


 これまでゲームに一切の関心を持てなかったルーナだったが、ここに来て少しだけ興味が出て来た。


「なぁ、何か為になるゲームはあるか?」

「為になるゲームですか? ゲームって本来は遊ぶものであって、そういう方向性のものじゃないんだけどなぁ」


 そうは言いつつも折角興味を抱いてくれたのにここで突き放すのは惜しいと、ヴェルはプレイ済みの棚からルーナにあったゲームソフトを一本見繕って差し出す。


「……これは?」

「『騏驥王寺の一族』、略して"キキゾク"って俺が呼んでる乙女ゲーです」


 ヴェルが差し出したゲームのパッケージには上着を着崩して胸元を露出させた五人の美青年が一人の女性を取り囲むというちょっとアレな雰囲気を感じさせる絵が描かれており、それを一目見た途端、ルーナの頬はヒクヒクと痙攣していた。


「い、一応聞いておくが、これが私の為になると?」

「はい」

「……そうか」


 ルーナは込み上げてくる感情に一旦蓋をして冷静に考える。

 パッケージはこんなのだが、もしかしたら中身は為になるものなのかもしれない。

 そんな一縷の望みに賭けながらパッケージの裏を見るルーナだったが、次第にパッケージを持つ手が震え始める。


「こ、こんなものが私の為になるだと!? 何を以てそんな事を言っているのだ!?」

「え? だって副団長、会話下手くそじゃないですか」

「んなっ!?」

「それに自身を客観視するのも苦手みたいですし」

「な、何を見てそう判断したというのだ!?」

「何って……雰囲気とか話し方とか、なんかもう全体的に?」

「そんな言葉で納得できるかっ!」


 まさか自分の為になると言われてちょっとエッチな乙女ゲームを出されるとは思っても居なかったルーナは顔を真っ赤にして怒鳴り散らす。

 そんなルーナに対し、ヴェルは少しだけ困った顔をする。


「説明自体は出来るんですけど、多分この言葉は副団長が俺に一番言われたくない言葉だと思うんですよね。俺自身、自分が言うのはなぁって思いますし」

「何だ、勿体ぶらないで早く言え」

「……いいんですか? 聞いたら恐らく青筋が立つどころでは済まなくなると思いますけど」

「構わん! どちらにせよこのままでは納得出来ん!」

「そこまで言うなら」


 ヴェルは一呼吸おいてから話し始める。


「副団長って、俺がレギオンに所属している事にずっと反対しているでしょう?」

「ッ!」

「兄貴から話はちょくちょく聞かされてましたし、後はまぁこうして直接話した時の態度からもそれは伝わって来てるんで、別に隠そうとしなくて大丈夫ですよ」

「……それが私が自分を客観視出来ていないという理由か?」

「いえいえ、確かに"自分から話に来たのに、話に来た人間の態度じゃねぇな? さては会話下手くそだな?"とは思ってましたけど、客観視が出来てないのはまた別の話です」


 素直過ぎるヴェルの言葉に早くも青筋が立ちそうになったルーナだったが、ギリギリで堪える。


「俺の存在はレギオン内ではもはや空気以下、気にする人間は副団長を除けば他に誰も居ません。まぁリアムみたいな例外は居ますけど……兎に角、空気以下の存在とはいえ、普通に考えて働きもせず一日中部屋に籠っている団員を退団させずに置いておくなんて異常だ、感情的な話であれば副団長の反応は正しいと思います。でもレギオン全体で見れば俺の存在なんて些細なもの、害は無いし放置していても然程問題はない、むしろ退団させろと迂闊に騒ぎ立てレギオンに波風を立たせる方が問題になる。それにも関わらず副団長は個人的な感情だけで俺を退団させようとしている」

「それは――」

「ハッキリ言います、今の副団長は自身の感情を優先して組織に不利益を齎す、兄貴が最も嫌う、今の俺と同じ人種の人間です」

「――――――」


 あぁ、なるほど、確かにこれは青筋が立つどころで済む話ではなかったと、ルーナの燃え上がる感情とは裏腹に頭の中は酷く冷静だった。

 ヴェルの言う通りだ、今までのルーナの行動はアレンが嫌い、そして何よりルーナ自身が嫌う人種と同じではないか。

 それを理解しないままにここまで行動していたのだから、客観視出来ていないと言われても仕方ない。

 しかもそれを自分が退団させようとしていた人間から同類だと言われて気付かされる事になるなんて、ルーナのプライドは酷く傷付いていた。


「マジで俺が言うなって感じですけど、兄貴はこういう事は本人が気付くまで放置するタイプだし、指摘しないままだと本当にちょっと面倒事になりそうだなって思って……すみません、生意気言いました」

「…………謝るな、私が言わせた事だ」

「怒らないんですね」

「ここで怒って何になる、これ以上惨めになるだけだろう、そんなものは御免だ……それより」


 ルーナは自身が手に持ったままのゲームソフトに視線を向ける。


「……これをやれば本当に客観視が出来るようになるのか?」

「助けにはなると思いますよ、キキゾクって他のADVと比べてもプレイヤーに委ねる部分が大きいと言うか、選択肢が滅茶苦茶多いからちゃんと攻略対象から主人公がどう見えているのかを考えて選択肢を選ばないと狙ったルートに入れないですし」

「言葉の意味は良く分からなかったが、取り敢えず役には立つんだな? 信じて大丈夫なんだな?」

「大丈夫です、伊達に廃人ゲーマーはやってないですから、俺を信じてください」


 その言葉の何処に信じられる要素があったのか、ルーナにはまるで分からなかったが、何事もやらないよりはマシだろうとルーナは初のゲームに挑戦するのであった。

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