第9話 使用人によって本日は臨時休業です
「疲れましたよね? ご主人様、私のお膝空いてますよ」
(拒否する自分の頭を無理やりつかむ)
「だーめっ、ご主人様は私の膝を枕にして寝たいんですよね?
自分の心に嘘つかないでくださいよ」
(どうやったって引きはがせない)
「逃げちゃだめです。……というか逃げられませんよ。成人した獣人はどんな種であっても、力によって負けることはないんですから」
「――別に頼んでない? もー、自分を誤魔化さないでください。我慢なんて身体に良くないですよ」
(無理やり膝枕させられる)
「私に任せてください。私はご主人様が何をしてほしいかすべてわかっていますから」(ニコリ)
「まずはお耳掃除ですね。
ちょーっと私のお膝に顔をうずめたい欲求は抑えててくださいね。
うつぶせになるとお耳が見えないので」
「――恥ずかしがり屋さんのご主人様も、可愛いですよー」
「それじゃあ、動かないでくださいね」
(木製の耳かきを右耳にそっと入れる)
「どうですか? この耳かきはとっても細いので搔き心地も良いですし、ごっそり耳垢も取れちゃう優れものですよ」
「なので絶対動かないでくださいね……おっ、気持ちよさそうにしてそれどころではありませんか」
「それじゃあ、いろんな耳かきを試しましょうか」
(ステンレス製の耳かきをそっと入れる)
「フフッ、流石ご主人様。入れただけでどんな形状なのか分かったみたいですね。
そうです、これは先端が綿棒の形をしている耳かきですよ」
「金属製で少しひんやりとした感触がとても気持ちいですよね」
「カリ、カリ。カリカリ。カリ。よいしょ、そーっとカリカリ」
「おっ、大きな耳垢が取れました
どうですか? 耳の中、すっきりしましたか?」
「――完璧というわけですね。
それでは、梵天で細かいのを取っていきますね」
「奥からいきますね。ここかな~、ぐりぐり。ぐり、ぐり。
手前もちゃーんとしますから。ふわ、ふわふわ、ふわ」
「はーい、右耳できましたよ。
じゃあ左耳しましょうか」
(布擦れの音)
「次はスクリュー型いきますよ」
(先端がゴム製の耳かきをそっと左耳に入れる)
「耳の中で出し入れされるこのゴムの弾力性が何とも言えませんよね。
あんまり左耳は汚れていないので、気持ちよさ重視です」
「――くすぐったいですか? それがいずれ快感になりますから。
あっでも、声は我慢しなくていいですよ
ご主人様のみっともなくて可愛い声聞きたいなー」
「もうだめですよ、動いちゃ。じっとしてください」
(左耳に少し強めの息を吹きかける)
「びくびくってなってるご主人様、すっごい可愛いです」
(無理やり起き上がる)
「え、もう終わりですか? まだまだやりたいこといっぱいあるのに……」
「――そんな目をしても無理? ん~、分かりました。
まぁ、あと一か月ほど戦争は続きますし、ご主人様も暇でしょう」
「フフッ、いーっぱい楽しいことできますね♪」
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