第3話 お風呂場、委ねる身体

(両脇をつかんで持ち上げる)


「ふぇ? な、何するんですか!

 あっ、やっぱり私いらない子でしたか!?

 こんな獣臭い女の子は嫌ですか!」


(浴室のドアを開ける)

(浴槽の中に入れる)


「……お風呂、ですか?

 私がお風呂なんて使ってもいいんでしょうか?

 臭いのであれば、一日中川に浸かれば帰ると思いますが……」


「——もちろん許さないですよね。

 はい、私もそれほどまで傲慢ではありません。

 ご主人様の行為に……好意に甘えようと思います」


(シャワーから水を出す)


「これが、どこからともなく冷たい水やあったかいお湯が出ると言われる、しゃわーですか?」


(こくりとうなずく)


「……それじゃあ今から私をビチャビチャにするんですね。

 ……あの、私を見つめてどうしたんですか?」


「——服を脱いで欲しい? 

 ……ご主人様、脱がせてくれないんですか?」(捨てられたら子猫のように)


「——脱がせたくないんですか? ちらっ、ちらちらっ」


「……そうですよね、私には魅力のかけらもないですから。

 思い上がりました。

 色気のない身体で申し訳ありません」


(服を脱ぐ少女)


「――私の身体はとても魅力的?

 ……毛むくじゃらなだけだと思うんですけど」


「――私を綺麗にするお手伝いがしたい。

 可愛い私なら洗えばもっと可愛くなる!?」


「そ、そんなことないですよぉ~」


「……ご主人様って変わってますよね。

 獣人の私にそんな言葉をかけてくださるなんて」


「最初、私はどこかのお金持ちが気まぐれで私を買ったのだと思いました」


「……今ではご主人様が私を気まぐれで買ってくれたこと、感謝しています」


「——可愛くてちっちゃな女の子がいたから買った? へぇ、ご主人様はロリコンさんなんですね……」


「……ふふっ、本当にご主人様は変わってて、素直で優しくて。カッコいい人ですね」


「――やりたいことをやってるだけ? ふふっ、ではなおさら良い人じゃないですか。私からしたら、この血生臭い世界における唯一の希望です」


「ご主人様、私を、めいいっぱい綺麗にしてくださいね」




※獣人は限りなく獣に近いです。全身毛むくじゃらだと考えてください。not R18

 そんな少女がご主人様に気に入られようと、頑張って色気出そうとするのって最高だよ。


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