第14話
「まず今の状況を整理すると」
生徒会長が手帳を取り出して言う。
「小野寺さんのクラス自体が消えた。でも小野寺さんはいて、違うクラスの生徒になっちゃったんだね。そのことに気づいてるのは…小野寺さんと、僕たち。」
「あの~…なんでみなさんはわかるんですか?ていうかなんでこの状況を受け入れられちゃうんですか…?」
「え〜、だって昔もあったらしいし…なんでわかるか?それは、僕たちが小野寺さんと同じだから。」
昔もあった?
昔もあったからって、こんな落ち着いていられるかなぁ?
「私と同じ、というのは?」
そこで蜜柑くんは。
「普通の人間より霊力が高いってこと。例えば…」
んー、と考えて、
「物の怪が視える……とか?」
「え、………?」
なん、で…?
「……なんで知ってるの?」
思わず敬語をとってしまったが、今はどうでもいい。
「あっ!!敬語とってくれたぁ!嬉しい〜」
蜜柑くんが嬉しそうな笑顔になって、優瓜くんに「桃ちゃんが敬語とってくれたっっ」と嬉しそうに話す。
優瓜くんも、「よかったねー」と笑顔で言う。
ほのぼの空間だなぁと思ったが、そうじゃなくて……。
「生徒会長さんは……なんで、私の霊力のこと……物の怪のこと。知ってるんですか。」
改めて生徒会長さんに訊く。
「うーん…。逆に、僕のこと知らない?」
「知りませんよ。なんかすいません」
「そっかぁ。えーっと、久遠家ってあるのね。僕の家なんだけど。昔から続いてる祓い屋だよ。結構昔には、ある家と協力して物の怪を祓っていた。その家が……」
小野寺家。小野寺さんのご先祖様だね。
生徒会長さんはそう続けた。
「え、ちょ、え?どういうことですか?会長さんが祓い屋………?私の家と協力して物の怪を祓ってた?ちょっと……情報量が。」
「だよねぇー。でも、小野寺さんも物の怪視えるじゃん?だからもう、たいしてびっくりはしないでしょ?もう一般人の“異常”が僕らの“普通”になっちゃったんだよ」
「ま、まあ…そうですね。私は…私たちは生まれた時から普通ではないので。」
人の心の声が聞こえるなんて。こんな能力、欲しくなかった。
空間認識ならまだしも。
弟や妹は、自分の能力が好きだと言っていたけど、私はそう思えなくなってしまった。
人の心の声には、聞かなくていいものもある。
悪口、影口、妬み、恨み…。
街を歩けばそんな声しか聞こえなかった。どうしようもなく不快で、気持ち悪くて、でも誰にも相談できなくて。小さい頃はよく泣いていた。
すると。
『大丈夫。僕が助けてあげる……!』
幼いころの記憶が突然頭に流れ込んできて、ズキッと痛みを感じた。
『うっ…グスッ……でも…どうやって…?』
泣いているは私かな…?
でも、でも…慰めてくれているこの男の子は誰…?
『物の怪をみんなやっつければいいんだよ!そしたら、もう桃の能力も消えるんじゃないかな?僕と桃の霊力も消えちゃうけど…。平和になったら、もう戦う必要もなくなるし』
『そうだよねっ…私、戦うよ…!___くんと、平和な世界で暮らしたい!!!』
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