第13話

「失礼します」


そう言って生徒会室に入ったら。



「あっ、きましたよっ、杏くん」



かわいらしい男の子がいて、そう言った。


その子以外にも、3人男の子がいた。



「あっ、小野寺さんだぁ」

会長は相変わらずだった。


あとの2人は……


「女の子だ!ねえ杏、この子だれ!???知り合い!?!?可愛くない!?」


「……部外者?」



元気な人と、冷たい視線を送ってきた人。

温度差が激しい2人だった。




えっーと、生徒会室にいるってことは、生徒会の人かな?


「えっと、小野寺桃です。1年生です」


とりあえず自己紹介だけしといた。



「俺は、俺は、優瓜ゆうりだよ!!2年生ね!!よろしくね!!優瓜くんって呼んでね!!」


「は、はぁ、よろしくお願いします。優瓜……くんで、いいんですか?」


元気な人が距離をつめてきて言った。距離感がバグってることだけわかった。



「だめだよぉ、優瓜くん、桃ちゃんが困ってるじゃん」


 

距離をグイグイつめられて困っていたら、可愛らしい男の子が助けてくれた。



「あ、僕は蜜柑みかんっていうんだぁ!よろしくね、桃ちゃん」


名前まで可愛いなぁ。同学年かな?でも、こんな子いたっけ?



「えっと、蜜柑くんって1年何組?」


そう訊くと、予想外の答えが返ってきた。


「あははっ、僕、2年生なんだよねぇ」



「ええっ、先輩だったんですか!?すいません!!」



可愛いから、てっきり同学年だと思ってた。めっちゃ申し訳ないっ。


「あっ、でも、優瓜くんとおんなじように、蜜柑くんってよんでね」


敬語も外していいからねぇー、と蜜柑くんはふわっと微笑んだ。


「でも先輩なんで……しばらく敬語かも、しれません」


「え〜、じゃあ、ゆっくりでいいよっ!」


すると、優瓜くんが、


「あ、でも、李人りひとは桃ちゃんと同じ1年だし、親近感あるんじゃない?」


と言った。


そしたら、さっき冷たい視線を送ってきた男の子が、


「………はぁ?」


と、こっちを睨みながらつぶやいた。



「こいつと一緒にすんなよ」



え、怖いよ?あと酷い。


ていうか、この人、中等部で一回だけ同じクラスになったよね?話してくれなかったけど。



「ちょっと、李人くん、小野寺さん怖がらせちゃダメでしょ?」



今までニコニコと私達の会話を聞いていた生徒会長さんが、李人くんに(めちゃくちゃ軽い)注意をした。



それから私に近づいてきて、


「ごめんね、小野寺さん。李人くん、成績で学年で3位なんだけど、1位になりたかったみたい!」


と、李人くんに聞こえないくらいの声で言った。


「多分違うよぉ、杏くん!ただツンデレなだけだよぉ」


蜜柑くんが李人くんの方を見てにこっと笑った。李人くんは、何で笑われたのかわからず、不機嫌そうに生徒会室の端っこに移動してしまった。


「で、ここから本題だよ。小野寺さんのクラスが消滅しちゃったんだよね?」


「あ!そうだった…」


ちょっと忘れかけてたけど、今大変なことになってたんだった…。


「杏くん、消滅なんて怖いこと言わないでよ〜」


僕怖い〜、と蜜柑くんは優瓜くんに抱きついた。正直、とてもあざとかった。

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