第11話

「………?」



急にみんなの心の声がきこえなくなってしまった。


心の声だけじゃない。



喋り声さえも。


なんか、世界が静かになってしまったような…。


「……どういうこと?」



そう独り言を呟き周りを見渡すと。



え…っ?



教室には–––––誰もいなかった。



みんなどこ行ったんだろ??


え、でも、この一瞬で、しかも一斉にどっか行く?次数学だよね?




空間認識能力…っと。



これでクラスのみんなを探せばいいか…。



………………。



クラスの子が誰も、この世にいないような?感じがする。奇妙な感覚もあった。この空間に。そんな感覚。




うわぁ…。えぇ??は?

語彙が無くなりそう…。




とりあえず今の状況を整理すると…

・次の時間は数学(だった)。

→(結南がなかなか帰ってこないなぁ?)

・心の声も喋り声もきこえなくなった。

→教室には誰もいなくなっていた。


(わかりにくっ整理できてねぇよこれ)



もしかして…?

 



物の怪…のせい、とか?



とか思考をぐるぐるさせてたら、あることを思いついた。



…教室出て、他のクラスがどうなってるか見に行こうかな…。



そう思って廊下に出ると。



ドンッ



誰かとぶつかった。



「あれ?桃ちゃん!」



その子は、クラスが離れちゃったけど中等部から仲がいい女の子だった。




他のクラスの人はいるみたいだ。



「ごめんね!!大丈夫だった?」


「えっと、大丈夫…あのさ、ききたいことが」


「桃ちゃん、空き教室で何してたの?」


「っ、え?」


空き教室………って?


「空き教室……?だってここは、私のクラスの教室だよ?」



「えっ?何言ってるの…??ここは多目的室だよ?今は使われてないけど……」



「うそ……だって、今までここで授業を受けたり…結南とかと」


そうだ。



、結南達はどこにいるんだろ?



「ねぇ、結南ってどこっ!???」


私は急いでその子にきいた。




でも。



「結南って誰?そんな子いたっけ?」



そんなはずはない。結南とこの子は知り合いなのに…。



「えっと、じゃあ…萄馬は?」



「え、その子誰?外部進学の子?」


あの成績がいい、みんなから頼られる萄馬は学年で有名。知らないはずがない。



「えっと、じゃあ〜〜〜」


「ごめん、その子も知らないかなぁ…」


その後もクラスみんなの名前をあげたけど…。誰1人知らないらしい。


ついでに通りすがりの男子や、先生にもきいたけど、同じ答えだった。




あーー……。ドウシヨウ。



私のクラス自体が無くなってるのか。


私の焦りは増すばかり。



どうしよう、このままじゃ、結南や萄馬が消えたまま––––––––––?







––––––––––あ……。




「桃ちゃん、今日変だよ?どうしたのー?」



「…ごめん、ちょっと具合悪いから保健室行ってくるねっ!!!」



「えっ、大丈夫!?」



「うん、すぐ戻るからね!」




もちろん、保健室に行くのは嘘。



でも、目的はちゃんとある。


















「………生徒会長。」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る