第7話

「と、いうことで、早速校舎を案内するよ!」



あー。それはいいかなぁ。


だってさぁ…。


「あのー、知ってるからいいです」


「…え?知ってるからいい?なぜ?」


「なんでって…私、幼稚部からここなんですよ」


「え?幼稚部からここ?そんなはずは…」






檸檬学園幼稚部は日本一入りにくいところである。




だからびっくりされるのも当然かな〜。


 


でもさ。




私に関しては能力使ってるから、私の実力とはいえない気がするんだよね。




それをずっーと気にしてた。



「あの、生徒会長さん。生徒会長さんは、いつから檸檬学園なんですか?」



私の話題から逸らすために、話をふる。



「えっ、僕?僕はね…」



生徒会長さんはなんでか切なそうな顔をして、そっと言った。


「僕も幼稚部から。」



あ、そうなんだ。



「じゃあ、会ってたかもしれませんね。あいにく私、あんまり幼稚部の時の記憶が無いんですけど」



「そうだね、会ってたかも。僕もあんまり覚えてなくて。」




どうしてそんなに切なそうな顔をしてるんだろう。好きな人でもいたのかなぁ。



「好きな人でもいたんですか」


「うん、まぁ…そんなとこかな」



こんなイケメンに好かれるなんて、その人は幸せ者だなぁ。



あ。



きういのお迎え行かなきゃ。


「じゃあ、私、用事があるんで、失礼します」



「うん、じゃあね」



急いでかけだした私だけど、振り返って、


「助けていただきありがとうございました!」


そう言ってまたかけだした。



–––––––––––––––– 




「ねぇねぇおねーちゃん、今日ね、しょくぎょうたいけん?のせんせいがきたんだよ」



「そうなの?あ、そうか。今日は中高生が職業体験しにくる日か」



檸檬学園はこの時期になると職業体験の受け入れをやっている。


中学や高校に体験に来る人も、まずは幼稚部の見学からやるらしい。よくわからん伝統。



「それでねー、たけるせんせいっていういけめんがいた!」



へー、たけるせんせいね。



ん?たける?



なんっか聞いたことあるよーな?



まあいっか。




そんなことを呑気に思いながら、きういと下校していたら。



まわりの空気が一瞬にして変わった。



そして私たちの目の前に“物の怪もののけ”が現れた。物の怪は、個体によって見た目や能力が違う。

今出てるのは手がいっぱい生えた気持ちの悪くなる奴だ。



そして、この物の怪たちは

話の展開が早すぎる?そんなことない。




「きうい、ちょっと下がっててね」



私は制服のジャケットの内ポケットに手を入れ、あるものを取り出した。

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