第6話

「生徒会長、さん…?」



私はびっくりして、思わず声をあげた。



それは相手も同じだったようで。


やっーと、手を放してくれた。




「せ、生徒、会長…」


「生徒が嫌がることはしちゃダメだよ、成瀬なるせくん?」



おー、この人、成瀬くんっていうんだ。

忘れとこ。



ていうか生徒会長さん、生徒の名前全部覚えてるとかなのかな?



「…っ、すいませんでした」


成瀬くんは生徒会長さんが怖いのか、小さい声でそう言い、走り去っていった。




「大丈夫?小野寺桃さん?」



ホラ、私の名前知ってる。



「…私の名前、知ってるんですね。」


「んー?まあ、君、昨日代表挨拶してたもんね」


「さっきの成瀬くん?も知ってたじゃないですか。やっぱり全校生徒の名前を把握してるんですか??」



「…まあね。ていうか君、僕のこと怖くないの?一応生徒会長なんだけどね」



まあ確かに強気だったかも。


「すいません、生意気でしたか?」


「いや、そうじゃなくて…まあ、いいか」



この人、何なんだろ?本心がちょっとわかりづらい。







いや、違う。



嘘でしょ……。


私は生徒会長さんの心の声が聞こえないことに気づいた。



こんなことは今までに一度も無かった。



この人……何者???



ちょっと警戒していたら、生徒会長さんはん?という顔をして(なぜか)周りをキョロキョロしていた。



この人いつまでここにいるんだろ。

こんなところに用なんてないと思うんだけど。


「あの、なんか用ですか?それとも、私もうどっか行った方がいいですか?」



そう訊いてみたら、



「ああー、君に用があったんだよね」


「は、はぁ…なんでしょうか」


「いや、なんて言うかさ、君に用があったって言ったけどやっぱり違うのかなぁ?新入生に会ったら校内を案内するっていうルール?があって」


「へぇ、そうなんですか」


「と、いうことで!!


ここは檸檬学園。幼稚部から大学まであるよ!みんなからはレモン学園やられも学やら呼ばれてるから好きに呼んでね〜!」



それとかは知ってると思うけど!とニコッと笑う生徒会長さんを見てドキッとした。


そうだった。この人イケメンの分類なんだった!


一瞬だけどときめいてしまった私は頭をぶんぶん振った。




「さて、小野寺桃さん!檸檬学園高等部入学おめでとうっ!僕は生徒会長の久遠杏くおんきょう!よろしく!」



「はぁ、よろしくお願いします?」


この人元気いいな。

それに、学校のリーダーにふさわしそうな感じ。



人気ありそうだなぁ。でも、なんで心の声が聞こえないんだろう…。





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