第3話
「新緑が鮮やかな
校長先生の式辞がはじまった。
みんな最初の1分は真面目に聴いていたが、もう暇そうにしている。
私はこの式辞を聴くのは4回目。めっちゃ暇…だから、頭の中で代表挨拶のシュミレーションをしていた。
そのとき。
《あー、マイクの調子がおかしいっぽいな》
と、誰かの心の声が聞こえた。
誰のだろ?と、今度は集中して聞いてみると。
『生徒会長』と書かれた先に座っている美少年(いや、客観的に見ての一般的な回答だよ?)の声だった。
へー、この人が生徒会長か。じゃ、なくて。
マイクの調子がおかしい?どこが?
校長先生の声、普通に聞こえるけど?
…待って。確かに空気の揺れが変わったような…。空間認識能力で何かを(?)感じた。
すると。
キ––––ン
と、マイクが悲鳴をあげた。
「おわっ」
隣で居眠りしていた結南が起きた。
(席は出席番号順に並んでる。結南の名字は“
マイクが壊れたことで会場はざわざわした…のもちょっとの間だけ。
なぜなら、『生徒会長』が替えのマイクをあらかじめ持って校長先生の元へダッシュしてたから。
「多分マイクも疲れちゃったんですねー」
遠回しに校長先生をディスりながら、『生徒会長』は校長先生にマイク(NEW!)を渡した。
「どーぞー、校長先生」
「あ、ああ、ありがとう久遠くん」
校長先生は苦笑いを浮かべながら、
「えー、今日はこのへんでお話を終わらせていただきます。改めて、新入生の皆さん、入学おめでとうございます」
と、締めて終わった。
周りの生徒はコソコソと話していた。
「ねえ、生徒会長かっこよくない?」
「2年生の久遠先輩でしょ?」
「さりげなく校長先生の話終わらせてたし」
おー…『生徒会長』すごーい。
じゃなくて。私の出番来るんだけど。
「…えー、次は新入生代表による挨拶です。小野寺桃さんよろしくお願いします。」
「はいっ!」
私はステージの上へまっすぐ行った。
「小野寺……ね。」
『生徒会長』がそう呟きながらこっちを見ているのも知らずに……。
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