第2話
私は普通じゃない。
それは知ってた。
ねえ、知ってる?
“
どうやら私は、昔、ここらへんの村の魔物退治をしていた家の子孫らしい。特殊な能力で。
このことは、幼い頃からよく祖父にきいていた。
特殊な能力。小野寺家の人間は、特殊な能力が生まれつき備わる。
それは世代や人によって変わるらしい。
私の場合は、
『相手の心の声が聞こえる』
『空間認識能力が異常に高い』
らしい。空間認識能力とは、空間にある物体や形や大きさを認識する能力で、またの名を空間把握能力という。
とまあ、こんな力を持っている私はいろんなことができちゃうのです。
面接官の心をマジで読んじゃったり。
(絶対にしないけど)泥棒に入る時に家がどんな感じか探ったり。
以前、結南の家にお邪魔した時も現在両親不在であることも当てたし、結南が悩んでる時とか心を読んでアドバイスしたり。
……いや、入試の時はさ、ほら、まだ2歳だったわけじゃん?だからそういうのやっちゃダメってわからなかったんだよ。ほんとに!!
不正って言わないでください…。今はやってないですからぁ…多分。
このことは家族以外知らないと思う。
結南にも言っていない。
変に思われたくないから…隠し通す。
–––––––
やっと学校に着いた…。
走ったおかげで入学式まであと20分以上ある。
昇降口には新入生がたくさんいた。内部進学の人もいるけど。
《緊張するなぁー》
《あの人イケメンだったなぁ》
《クラスどうなるんだろー》
と、様々な“心の声”が聞こえる。
《あ、桃だー!》
結南の声がした。いや、心の声?っぽい。その直後。
「おーい!桃ー!!」
結南の本物の声がした。
「おはよー、結南」
「よかったねぇ桃、間に合って!あ、だけど新入生代表挨拶があるのか」
「あ、そうだったー」
「がんばってね!」
そうだ。私は代表としてあいさつしなきゃなんだ。だって、どうやら中等部を主席で卒業したかららしい。
そんなの外部からきた人がやればいいじゃないか、と思ったが、「この人だ!」というのがいなかったらしい。しょーがない。
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