第1話
あの伝説から十数年後。
その伝説をつくった本人は…
––––––––––––––––––––
「やばいやばいぃ!!!寝坊したぁ!!」
なぜ!?わたしは早起きが取り柄だったのに!?
とりあえず、
「もしもし!?寝坊したから、先行ってて!」
『え?桃のくせに寝坊?ださい〜』
「いつも寝坊してる人に言われたかなぁい!」
『私今日早起きしたもんね〜。
だって今日は高等部入学式なんだよ?
いくら内部進学生だからってちゃんと出なきゃね』
「わかったわかった!ごめんなさいね!
じゃあまた後で!」
『オッケー、じゃあねー』
私は急いで家を出て駅まで走った。
私は
今日は檸檬学園高等部入学式。とはいっても私は内部進学生なんだけど。
さっき電話してた結南は、中等部からの私の親友。(学校が違う彼氏がいる)
結南はいつもは寝坊するのに今日は早起きだ。
なぜなら、今日も彼氏と登校するから、早く彼氏の制服姿が見たいからだろう。
機嫌が良かったのは朝ごはんがレモンパンだったから。
え?なんでわかるかって?
だって“顔にかいてる”もん!
なーんてね、電話だから顔は見えないよ。
“顔にかいてる”。
………いったい、この言い訳を何回使ってきたんだろう。
十数年前。幼稚部の入学試験のとき。
私は図らずも伝説をつくってしまったらしい。
『あなたは、いま、“ほんとうのしあわせ”をつかみたいとおもってるのですか?』
なぜこの言葉が出たのかというと。
聞こえたんだもん。そうやって。
………どうやら私は普通じゃないらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます