プロローグ

檸檬学園。


幼稚部、初等部、中等部、高等部、大学、大学院まであり、全国屈指の名門校でもある。



どこから入るにも相当な学力が必要になるが、1番入るのが難しいのは、なんといっても………



幼稚部である。いや、嘘では無い。



全国の子供が集うため、毎年倍率が200倍を超えるのだ。

最終試験は、『面接官が心の底で今思っていることを考えて、言葉にする』というむちゃくちゃな内容だった。


2、3歳児にそんなことができるかって?



だいたいの子供は訳がわからず黙るか、泣くかのどちらかだ。


だから2000人受けても10人以下くらいしか受からないし、その子たちもなんとか「いま、たのしいの?」とかを喋れた程度である。




だか、今年は違った。ある少女が言ったのだ。



「あなたは、いま、“ほんとうのしあわせ”をつかみたいとおもってるのですか?」


2歳児。つい一年前に話し始めた子供。

いったい、どこでそんな言葉を覚えたのだろう。


また、言葉を喋れただけでも合格対象である。


だが–––。

面接官は驚愕した。なぜなら、ちょうど最低な恋人と別れられて“本当の幸せ”をつかみたいと思っていたから–––。




この少女は学園内でも話題となった。そして、伝説にもなった。


その少女は“小野寺家の長女”である“小野寺桃”だった。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る