第7話 包まれて

ある日、僕の歓迎会を近くの居酒屋で行ってくれた。何故か隣にはあの先輩。


やたらと僕に世話を焼いてくる。


あれとる?これとる? あれ食べる?


鬱陶しいというよりか、ちょっと恥ずかしかった。


そして酔ってくると僕に身を任せ始めた。



「先輩、飲み過ぎですよ。」

「いいじゃん!楽しいんだからさ!ねぇ、この後カラオケ行かない?それかスナック!」

「いいって。帰ろ。送ってくから。足元もやばいでしょ。」

「大丈夫!流星いるから!」

「あのね、、。」

「なに?」

「この酔っぱらいが。どうしょうもねーな。」


僕らのやり取りを見て、


「お!付き合ってるのか?」とヤジをいれてくる社長。


「ないです!ないです!」

「なんでないのー?いいよ??あたし、流星でも。」

「いい。俺はいい。」

「なんで!」

「俺、ゲイかもしれないし。あいつらのせいでっていうかどっちかって言うとあの兄ちゃんの方にだいぶ頭やられちゃったから。」


「…やっぱりゲイなの?」

と他の人が聞いてくる。


「女の人が苦手なだけです。してできないわけじゃない。」

「あーならいいのか。」

「なにがいいの!あのね!男と女だけしかいないと思わないでよ!いろーんなのがいるの!みーんな悩んでんの!…流星もそうでしょ?」


「まぁね…。『普通』じゃなくなっちゃったからね。」

「大丈夫。あんたには私がいるから!」


そう言って僕に抱き着いて眠ってしまった。


「…どうしょうもないな。本当に。」

「私送るよ?」

「そのうち起きたりしないですか?」

「しないねー。久しぶりじゃない?ここまで飲むの。前に彼氏にふられた時以来かも。」


「俺、振ってないですよ。」

「わかってるから。」

「……」

「なに?」

「いや、、なんでもないです。」



翌日は会社が休みでこの日に歓迎会をしてくれたのもあって、ちょっと安心して飲みすぎたとかなとも感じた。


でも僕は…この隣のこの人じゃなくて向こう側のあの人に何かを感じていた。




――――――翌々日の出勤日。


「あのさ!」

「はい。」


歓迎会で僕が何か感じた人に話しかけられた。


「ちょっと雑用してくれない?」

「いいですけど、、」


僕は小さな部屋に連れていかれた。


先輩が長机に腰掛けると聞いてきた。


「ねぇ。流星。」

「ん?…」

「私と付き合わない?」

「なんで?」


「…人のものほど取りたくなるから。」


「結構です。どうせ、本気になったら捨てるんですよね?それに俺、今、特定の人居ないんで。」

「あれ?白宮しろみやさんは?」

「あの人はなんでもないです。」


―――――――――「サボり?」

白宮が颯爽と入ってきた。


「うちの子になんか用?」


そう言って白宮が僕の手を引いて半ば強引に部屋から出した。


そして…ドアを出てすぐキスしてきた。


「…お前が一番やべぇ奴だわ。」

「でしょ?」

「そんなに食べたい?」

「とっても美味しそう。」

「……掴むなこんなとこで。」

「じゃあ撫でてさしあげましょうか?」

「それやめて…指はちょっと…」

「出していいのよ?」

「汚れちゃうから飲んで。」


「……」

「ご不満でも?」

「あたしもだけどあんたもだいぶ変態ね」

が僕を引き出すから」


そう言うと、陰まで僕を連れて行って激しくキスして来た。


僕は……手を絡めたまま身体を震わせた。


「……あれ?まだ口にさえも入れてないけど。」

「無理…耐えられなかった。」

「着替えておいで。適当に誤魔化しとくから。」

「……もう一回して。」


「……なら、あたしのものになりなさい。」


先輩は僕を抱き寄せて頭を撫でた。

ふんわりとした優しさといい匂い。

大晴に近いものをこの人は持っていた。



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