第8話 アルバイト初日 その1
今日からアルバイトを始める。 新作ゲームの為に汗水垂らして労働に勤しむとしますか。
今日の全日程が終わり、俺は机の中に入っていた荷物を鞄に入れ、鞄を持った後教室を出ようとした。 すると
「い、和泉君!」
「ん? ……気のせいか。 さて」
誰かに呼ばれた気がするが……俺に好き好んで関わろうとする奴は居ない筈だからきっと気のせいだろう。 俺はそう自己解釈し教室を出ようとした。 すると
「き、気のせいじゃないよ! 私、ちゃんと和泉君を呼んだよ!」
と俺の背後から女子の焦った様な声が聞こえてきた。
「……ん? 土方さん?」
振り向いて見ると、土方さんが居た。 どうやら気のせいでは無かったみたいだ。
「……何故気のせいにしようとしたんですか。ちゃんと和泉君を呼びましたよ私」
「……いや、俺みたいな陰キャオタクに用事があるクラスメイトは居ないと思ったから?」
「それは和泉君の被害妄想だと思いますが」
俺の返答に土方さんは呆れた顔をする。
「……で、何の用事?」
俺がそう訊ねると、土方さんは頬をうっすらと赤く染め、モジモジした感じで
「え、えっとね、き、今日私、部活が珍しくお休みだから、あ、あのね、も、もし良かったら、私と一緒に帰りませんか?」
「ごめん。無理」
俺は土方さんの誘いをバッサリと断る。
「即答!?」
物凄くショックを受けた様な表情をした土方さん。
「だって、俺、今日からバイトなんだよ。だから無理。ごめん」
「ア、アルバイトですか」
「うん」
「聞いても良いですか? 何故アルバイトを?」
別に聞かれて困る訳でも無いので、俺は素直に
「新作ゲームソフトが発売するから、それを購入する為に」
と答えた。
「……和泉君らしい動機です」
……土方さん、そんな呆れた顔をしないで欲しいのだが。 俺にとって重要な案件なのだよ。
「という訳だから。バイトに遅れるから俺は行くよ。じゃあね土方さん。気をつけて帰りなよ」
そう言った後、土方さんに背を向けて廊下を歩きだす。 すると
「あ、あの!」
と強い口調で呼び止められる。
ん? まだ何か用事でも? 結構急いでいるんだけどな俺。
「何?」
歩く足を止めて土方さんの方に視線を向ける。
「わ、私も和泉君のアルバイト先に付いていっても良いですか?」
「? 何故に?」
「べ、別に意味は無いのですが、和泉君のアルバイト先に少し興味がありまして。 ほ、本当に深い意味は無いんですよ!」
……ふむ。土方さんって変わった人だな。 人のアルバイト先に興味が沸くとは。 別に土方さんの生活に支障が出る訳じゃ無いのに。 まぁ、知られて困る訳じゃないから……。
「ん。良いよ。じゃ一緒に行こうか」
俺がそう答えると、土方さんは物凄く嬉しそうな顔をして
「は、はい!」
と力強くそう言ってきた。 うん。本当に変わった人だな。
ふと俺は腕時計を見ると……やべ。バイトに遅れそうな時間になっているじゃないか。 早く行かないと、初日からバイトに遅刻は洒落にならん。
「じゃあ土方さん、もう時間ギリギリだから。一緒に来るなら急いで付いてきて」
「わ、分かりました! 急ぎましょう!」
という事で、俺と土方さんは急ぎ足で学校を出てバイト先に向かう事にした。
ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m
面白いと思われたら ♡ ☆評価 コメント レビュー等を頂けたら嬉しいです (* ̄∇ ̄*)
今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m
今回短くてすみません m(__)m
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