第7話 アルバイト

今度新作のゲームソフトが発売される。 さっきWebで調べたから間違いない。 今度発売の新作ゲームソフトは、俺が中学生の頃にやり込んだゲームソフトの続編だ。 待ち望んだ続編。


何としてもその新作ゲームソフトはGETしなくては! そうじゃなければゲーマーの名が廃る! GETしたら徹夜でやり込む所存である。


しかし…困った事に、新作ゲームソフトを購入する為の資金が無い。 親から仕送りして貰っている生活費から捻出すれば買えない事は無いのだが、それをしてしまうと毎日の食事がもやしオンリーになりかねない。 それに、親に(特に母親)バレたらド田舎に強制送還待った無しだ。 それだけは絶対に避けなければならない。


どうしよう……バイトでもするか? しかし、バイトをしたら金は手に入るがゲームに費やす時間が無くなってしまう。 でも新作ゲームソフトがどうしても欲しい……。 う~ん。


俺は約1時間程悩んだ後、スマホを取り出してバイト募集の記事をググる。 結局はバイトをする事にしたのだ。 背に腹はかえられぬという奴だ。


しばらくバイト情報を閲覧していると


~アルバイト募集~

時給1000円 高校生可 勤務時間 : 2~3時間程度 制服有り 昇給有り(業績次第) 仕事内容 : 接客


これなんか良いんじゃないか? 接客は苦手(陰キャだから)だけど時給が1000円なのは魅力的だ。勤務時間も2~3時間程度だし、これならゲームに費やす時間が削られる事も少なくて済みそうだ。


俺は早速応募サイトに飛び、バイトに応募した。


後日バイト先から採用の通知がメールで届いた。 必要書類(履歴書)を持って送付している場所に来て欲しいとの事。 俺は早速履歴書を書いて履歴書を専用の封筒に入れ、メールに送付してあった場所へ向かった。



「成る程な。確かに仕事は接客業務だわ。しかし大丈夫なのか此処? 客は居るのか?」


指定された場所にあったのは、喫茶店だった。 大手チェーン店みたいなお洒落なカフェじゃなくて、昭和の時代からありそうな店構えの喫茶店。 俺はその喫茶店を見てそう呟いた。


まぁ店の前に佇んでいてもしょうがないので中に入る事に。俺は喫茶店の入り口のドアを開けた。


" カランカランカラン…… "


入り口のドアからカウベルの音が鳴る。 ふ~ん。こういうのも良いじゃん。


喫茶店の中は、5人程座れそうなカウンター席と4人掛けのテーブルが3つ設置してあった。 カウンターの上にはネルドリップする器具と普通のコーヒーメーカーが置いてあった。 ドリップする器具……滅茶苦茶お洒落だ。喫茶店の雰囲気にとてもマッチしている。


高校生の若造が何を知った様な事を言っているんだとか言われそうだが、本当にそう思ったんだからしょうがない。


店の中をキョロキョロと見ていると


「いらっしゃいませ。何に致しましょうか?」


と店の奥からお爺さんが出てきて賑やかな笑顔で俺にそう告げてきた。 俺は慌てて


「バ、バイト募集のWebに応募して採用された者です」


「ああ、アルバイトの人でしたか。本当に良いんですかこんな店でアルバイトをして戴いても?」


「是非! 宜しくお願い致します!」


俺はこの店のマスターであるお爺さんに深々と頭を下げた。 するとマスターは賑やかに


「こちらこそ宜しくお願い致しますね。じゃあ履歴書を頂きましょうか」


「あっ、はい」


俺はマスターに履歴書が入った封筒を渡した。


マスターは履歴書を拡げて目を通しだし


「この喫茶店はね、私が定年を迎えてから道楽で開店した喫茶店でしてね。 初めは私1人で回せていたんですが、どうも年齢のせいか最近体がキツくてキツくて……。だからアルバイトを募集したんですよ」


「そうなんですね。所でマスターはパソコンとかWebとか詳しいんですか?」


疑問に思った事をマスターに聞いてみた。


「何故そう思ったんですか?」


「え、だって、Webでバイト募集が出来るんですから」


「ああ成る程。Web?でアルバイトの募集をしてくれたのは息子ですよ。私みたいな年寄りがそんな器用な事出来る訳無いじゃないですか」


マスターは楽しそうに笑いながらそう答えてくれた。




「和泉君はいつからアルバイトに来れますか?」


「俺はいつからでも大丈夫です。放課後はゲームをする位しか予定ありませんので」


「ふむ。じゃあ早速で申し訳ないのですが、明日から放課後からの3時間アルバイトをお願い出来ますか? シフトの方はなるべく和泉君の希望に添える様にしますので」


「分かりました。シフトはマスターの都合に合わせますので宜しくお願いします」


「分かりました。無理な時は何時でも言って下さいね」


それから俺は喫茶店のバックヤードで制服のサイズ合わせをし、渡された契約書の必要事項に目を通して名前を記載する。


「これから宜しくお願い致しますマスター」


俺は雇用主のマスターに頭を下げた。


「こちらこそ宜しくお願いしますね和泉君」



こうして俺の人生初のバイトが決まった。 新作ゲームソフトを購入する為にバイト頑張らないとな。 俺、この喫茶店ならとても気持ち良くバイト出来そうだ。 そんな予感がする。





ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m


面白いと思われたら ♡ ☆評価 コメント レビュー等を頂けたら嬉しいです(* ̄∇ ̄*)


今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m

















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