第6話 部活動(俺はしないけどね)
放課後になり俺はいそいそと帰宅準備を始める。鞄に教科書等を詰め込み鞄を持って教室の外に出た。
今日は食材の買い出しも無く(一週間分は買い込んだから暫くは買い物に行かなくても良いだろう)後はアパートに帰ってゲームを楽しむだけ。 今日はオンラインゲームにログインし時間ギリギリまで遊び倒すつもりだ。
あっそうそう、そろそろ貯蓄残高の底が尽きそうだからアルバイトも探さないとな。 最新のゲームソフトを購入する為の資金やインターネットの代金を支払う為にもアルバイトをしてお金を稼がないと・・・。 割の良い短期のアルバイトなんて無いものだろうか? 短期アルバイトの募集をアプリで調べてみるか。
そんな事を考えながら下駄箱で上履きから学園指定のローファーに履き替え校門を目指して歩き出した。
校門までの移動中、グラウンドから生徒達の大きな声が聞こえてくる。 運動部の生徒の声だろう。 やれやれ・・・青春してますなぁ。 まぁ俺は部活動に入るつもりはさらさら無いけどね。 だって俺、運動は大の苦手だし、芸術や音楽等にもあまり興味は無いと来たもんだ。そもそも部活に入ってしまったら、部活動に時間を取られてゲームをする時間が無くなってしまう。 俺からすればそんなの本末転倒だ。 何の為にド田舎から都会に引っ越して来たと思っているんだ。
そんなことを考えていると、グラウンドの一角から
「ナイスサーブ! さすが土方さん!」
と言う声が聞こえてきた。 ふと声のした方に視線を向ける。 視線の先にはテニスコートがあり、テニスコートで女子テニス部が部活動を行っている最中だった。
女子テニス部の中でも一番目立っていたのは、俺の隣の席に座っている土方さんだった。 さすが女子テニス部のエース。 サーブを打てば他の部員がテニスボールを返す事が出来ないギリギリのラインに打ち込むし、土方さんが居るコート内に打ち込まれたテニスボールはミス無く相手コートに返していく。 土方さんが打つスマッシュも強烈で、誰一人として返せる部員はいなかった。
素人の俺が見ても凄いの一言に尽きる。
・・・・少しだけ見学していこうかな。 今の時間はオンラインゲームにログインしても誰もログインしていないと思うし。 暇潰しの一環だ。
そう思った俺は、校門に向かう足をグラウンドに向け、テニスコートに向かって歩き出した。 ・・・決してやましい気持ちは無いからな。 テニスウェア姿の女子も太ももやアンダースコートが見たいだなんて気持ちは一切無いから勘違いしない様に!
テニスコートに到着した俺は、見学が一番しやすい場所を見つけそこに移動する。そしてその場所に偶然在ったベンチに座った。
「じゃあもう1ゲームお願いします。それで休憩にしましょう」
土方さんは相手の部員にそう告げてゲームを開始した。 さて圧倒的な土方さんの試合を眺めてから帰りましょうかね。
試合開始直後、何故かコート内の土方さんと目が合った。 すると土方さんが突然慌てだし
” スカッ ”
相手部員が打ったサーブの球を空振りしてしまう。 しかもかなりの大振りで。 大振りで球を空振りした土方さんの姿を見た相手部員はステップを踏んでリズムを取っていた動きを止めて唖然とした表情をしている。
「ご、ごめんなさい! もう一度お願いします!」
土方さんは慌てた様子で相手部員に頭を下げてサーブを打って貰う様にお願いした。
「う、うん。いくよ~!」
相手部員はもう一度サーブを放つ。 今度はそのサーブを相手コートに上手く返した。 やっぱり凡ミスだったんだろうな。 そして少しの間ラリーが続いた後、また土方さんと俺の視線が合った。 すると
” スカッ! テンテンテン・・・ ”
またもや土方さんは大振りで空振りをしてしまう。 そして転がるテニスボール。
「・・・・あれぇ? ど、どうしたの千鶴ちゃん? もしかして調子悪い?」
「・・・・そ、そんな事は無いんですけど・・・も、もう一度お願いします!」
その後土方さんは絶不調なままゲームが終わり、結果は負けてしまっていた。
土方さん絶不調だったな。どうしたんだろう。今回のゲームの前はかなり調子が良さそうに見えたのだけど。 ・・・まぁ人間だしそんな事もあるか。 さて、そろそろ良い時間になった事だし、暇潰しも出来たから帰るとしますか。
俺は座っていたベンチから立ち上がり、校門に向かって歩き出した。
「・・・あっ。和泉君が帰っちゃう・・・。何で何回もミスしちゃうの私。もっとかっこいい姿を和泉君に見せたかったのにぃ・・・」
俺がテニスコートから立ち去った後、土方さんがそんな事を呟いたとか呟かなかったとか。
ここまで読んで頂きありがとうございます m(__)m
面白いと思われたら ♡ ☆評価 コメント レビュー等を頂けたら嬉しいです(* ̄▽ ̄*)
これからも拙作を宜しくお願いいたします。
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