第2話 友達出来るかな?

一限目の授業も無事終了。 休み時間になった。


やっぱり転校生は物珍しいのだろう。クラスメイトが俺に声を掛けてきた。 俺は同類のオタ友が欲しかったので、なるべくフレンドリーに話す事に専念した。


「和泉君だっけ? 和泉君が居た所って本当にコンビニとか無かったの?」


俺にそう話し掛けてきたのは、いかにも陽キャオーラ全開のイケメン君だ。


うん。こいつとは仲良くなれそうに無いな。俺とは正反対の人種だ。 でももしかしたらワンチャンオタクかも知れないから


「そうだよ。俺の地元はめっちゃド田舎だからコンビニとか家電量販店とかも一切無かったよ。有ったのは個人経営の商店だけだったな。八百屋とか肉屋とか。駄菓子屋も有ったかな」


するとイケメン君は " はんっ! " と鼻で笑って


「マジかよ。転校初日だからネタとして言ったのかと思ったらマジな話だったのか。この田舎者が」


……何だこいつ。めっちゃ馬鹿にしてくるじゃないか。 やっぱりこいつとは仲良くなれない。そんなに都会に住んでいるのが偉いのか?


「俺は田舎者とは仲良く出来ないからそのつもりで。俺に話し掛けてくんなよ田舎者」


イケメン君はそう言って俺から離れていった。 俺もお前とは仲良くしたくねーよ。誰が話し掛けるか馬~鹿!


次に俺に話し掛けてきたのは上半身筋肉の男子生徒。


「和泉君! 君はスポーツに興味はあるかい? 僕はね、少林寺拳法部に所属しているんだ。良かったら君も僕と一緒に少林寺拳法で汗を流さないか?」


「や、俺はスポーツは苦手で。折角の誘いだけど遠慮しときたいかな」


俺はゲームが大好きなんだよ。スポーツには一切興味は無いんだよ。


「あっそう。残念だよ。じゃあ気が変わったら気軽に声を掛けてくれよ。一緒に少林寺拳法をしようじゃないか」


筋肉は " ハッハッハッ " と笑いながら自分の席に帰っていった。


絶対に気が変わる事は無いからあの筋肉に声を掛ける事は無いだろう。


それから何人も俺に話し掛けてきたが、俺と趣味が合うクラスメイトは1人として居なかった。


くそぅ。皆オタクじゃ無いのかよ。 1人位オタクが居ても良いじゃないか。 皆スポーツや音楽や部活等の話しかしやがらねえ。 こちとらそんな話には興味は無いんだよ。 音楽の話をされた時は少しだけ期待したけど、俺が期待した音楽とはジャンルが違うんだよな。 だってクラッシックだぜクラッシック。 俺が期待した音楽はアニソンやゲーム音楽なんだよ。 クラッシックなんか聞いた時には俺は数秒で寝る自信があるよ。


……このクラスで友達を作るのは諦めた方が良いかも知れないな。


机に頬杖を付きながらそう思っていた時


「あ、あにょ! 和泉きゅん!」


隣から鈴が鳴る様な綺麗で可愛らしい声が俺の名字を呼んできた。 ……和泉きゅん?


声がした方に顔を向けると、そこには土方千鶴さんが真っ赤な顔をしてモジモジしながら立っていた。


「呼んだ土方さん?」


「う、うん! あ、あにょね? い、和泉きゅんはど、どんな事に興味があるのかにゃ?」


……土方さんはめっちゃカミカミで俺にそう質問してきた。


どうせ興味本位で質問してきているだけだろ。土方さんみたいな美少女がオタクな訳無いからなぁ。 マジでもうこれっきりで関わる事は無いだろうし普通に答えるか。


「えっと、俺はゲームとアニソンやゲーム音楽に興味があるかな」


「そ、そうなんだ! うん!分かったよ!」


土方さんは何故かとても嬉しそうに微笑みながら何度も何度も頷いていた。 何がそんなに嬉しいんだろうか?


「土方さんはどんな事に興味があるの?」


「わ、私? 私は今はテニスかな」


やっぱりな。土方さんは俺とは根本的に違い過ぎる。 そう思った時、土方さんから思いもよらない言葉が発せられた。


「えっとね、和泉君がゲームやゲーム音楽やアニソン?に興味があるなら、私も勉強してゲームやゲーム音楽やアニソン?に興味を持つ様に頑張るね♡」


「えっ? な、何で?」


土方さんの発言にびっくりした俺は思わず土方さんにそう聞いてしまった。


「だ、だって、和泉君と共通の趣味を身につけたら、和泉君と仲良くなれると思うんだ。わ、私ね、和泉君と仲良くなりたいと思ってます。だから、私が和泉君と共通の趣味を身につけたらわ、私と仲良くしてくれますか?」


土方さんはズイッ!と綺麗な顔を俺に近付けてそう聞いてきた。 ち、近い近い!! 初対面の人の距離じゃ無いよ!?


「わ、分かったから! とにかく離れて! 近い近い!!」


「あっ、ご、ごめんなさい! 私ったらはしたない//////」


土方さんは俺との距離に気付いて、真っ赤な顔をして慌てて距離を取った。 し、心臓に悪いから止めて欲しい。 後数cm近かったらキ、キスしちゃいそうな距離だったじゃないか。


「と、とにかく、私、今日からゲームやアニソン?の勉強をします。私、今までゲームはした事が無いので、和泉君のオススメの私にでも出来るゲームを教えて下さい」


と土方さんが俺にお願いをしてきた。


「う、うん。分かった。土方さんが出来そうなゲームは……そうだな、スマホのアプリのパズルゲームかな。ほらこれ」


俺は自分のスマホを立ち上げ、ダウンロードしているパズルゲームを土方さんに見せた。


「分かりました! えっと、このゲーム……ですね」


土方さんは自分のスマホを取り出して俺が見せたゲームを早速ダウンロードして


「準備完了です♪ 今日から一杯練習しますね♡」


と眩しい位の笑顔でそう言ってきた。


「あ、うん。頑張って」


俺はそう答えるしか無かった。





~周りの野郎達side~


「ひ、土方さんが転校生に話し掛けているだと!?」


「あの男子の誰ともフレンドリーに話をしない土方さんが!?」


「しかも滅茶苦茶積極的に!?」


孝明と千鶴の会話に聞き耳を立てる野郎達。


「おい、聞いたか今の話」


「聞いた。土方さんがゲームをするみたいだ」


「あの転校生と仲良くなりたいが為だけにあの土方さんが今までした事ないゲームを覚えるだと!」


「お、俺もスマホのアプリのパズルゲームをダウンロードしてゲームをしたら、土方さんと仲良くなれるかも知れない」


「俺もダウンロードしよう」


「……しかし、どのゲームか分からない。一体どのゲームなんだ?」



この後クラスの野郎達は自分のスマホに様々なパズルゲームをダウンロードしていた。





ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m


面白いと思われたら ♡ ☆評価 コメント レビュー等を頂けたら嬉しいです (* ̄∇ ̄*)


今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m




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