鳴きっ鶴ァ
島
第1話
そこの人、どうかその戸を下手に持っていく のはおやめください。そんな戸を開けて私 の見る目価値目など興味ないでしょう。 私はすでに今頃俗世間の価値なんてそ の輝きなんて興味も甚だないのでご ざいます。私はただの慎ましくただ 静かにそこの戸棚にあった汚れ た活字の便箋をただ一語一句 ずつ折り畳む一匹の鶴でご ざいます。私の言葉なんて もう誰にも届きはしま せんからどうかその 戸を開けないで欲 しいのです。他山の 石とは言いますが他の鳥から奪い取ってしまった輝きなんてもう私にはございません。本当にただ慎ましく折り合いつけていきたい所存なのです。どうかつまらない愚かな私をお許しください。私の涙は水では無いのですから。そこの人、戸を上手に持っていくのはおやめください。未来永劫のあの一等星の輝きは私にはあまりにも勿体無いものでございます。この翅はもうすでに開けように無いのですからどうかお引き取りください。だって私は生まれ持った日本人なのですから慎ましく生きていきたいのです。ただ声を荒げずそっと残った原石をみずからの目だけでそっと見守っていきたいだけです。誰かが等しくならないと全体幸福なんて有り得ませんから、ええその通りです。
鳴きっ鶴ァ 島 @shima0029
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます