第2話
クソ野郎と合流する為、自転車を漕ぎいつもの俺達のたまり場を目指していた。季節は夏。何もしていなくても汗が流れてくるくらいには外は暑く、蝉の鳴き声がどこにいても耳に差し込んできて、それが夏を強調しているみたいだった。
「何か面白いことないかねー」
そう呟きながら、たまり場へと自転車を漕ぐ。いつしかこれが口癖になっており、そんな自分がどこか嫌いだった。将来自分が何になりたいだとか、こういう大人になりたいだとか、学校では現在進行形で文理選択が迫られており、そんな会話で校内は充満している。
「はぁぁ、くだらねぇぇ」
思わず本音が出る。実際の所、自分の将来がどうなるかなんて知る術は無いし、その日その日の一日単位で楽しいことがあって、満たされる日々が続けば俺は満たされる気がしてならない。ある意味自分の将来のことを思考放棄しているとも言えるが。
「よーし、着いた着いた」
学校の奴等と将来への愚痴をこぼしている内に、目的地でありたまり場であるファミレスに着いた。店名は「グスト」。
「お、遅かったねー、さ、早く早く」
俺を今日サボりに導いたクソったれがいち早くグストに着いており、笑顔で俺を出迎えてくれた。
「なぁ、最近サボりすぎじゃないか俺達」
少し呆れて俺は言う。
「ま、いいじゃんいいじゃん」
強引に、腕を引かれてグストの中へ導かれ、いつもの決まった定位置にカバンを置き、席をとる。
「今日は、何を飲まれますか」
こいつは、今日も学校をサボったことにまるで優越感を持っているかのように、清々しい笑顔で俺に聞いてくる。
「ジンジャーエールで」
落ち着いた口調で、決まった飲み物を頼む。
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