7.5話 間話
「戦闘データ、測定完了」
「結果はどうだ?」
「こっちの負けだよ、完全にコアをやられてしまっている」
キーボードを叩く音が部屋に響く。
「んで、アンタは
「試作機ではまだまだ性能面で粗があるからね。次は機体の硬度を高めつつ出力も大幅に上げる必要があるしそのためには上からの提供が必須だな。またはより小型化して廉価なものに仕上げて数で攻めれるように改良するか。今の所でもある程度生産は可能だが効率的とは言い難いし研究を進めていかなければ僕個人の美学に…」
「あーわかったわかった。とにかく、改良するってことだろ?」
「…まぁ、そうだね」
二人の男は画面に映る翡翠色の髪の少女を見つめる。
「これがフローヴァの最新兵器ってか」
「かなりの作りだね。あのスピードは兵器として最高クラスのものだ。一体どこのどいつがこんなものを…」
「見た目はただの女のガキなのになぁ」
一人の男は眉をひそめながら画面に見入る。
それに対してもう一人の男は静かに口を開いた。
「…見た目は少女でも、あれは兵器だ。変な情は抱かないほうがいい。……と言っても、君にはそんな心配はいらないか」
「おいおい、俺ァそんな女子供をいたぶる趣味は無いぜ?」
「何十人も人を嬉々として殺してきた男の台詞とは思えないな」
一人の男は背を向け、部屋の扉に向かいながら答える。
「俺はただ人から奪うのが好きなんだ。金でも、プライドでも、命でも。……そいつからも同じように、奪ってやるだけさ」
「ふーん、そうかい」
男は一瞥もせず、画面に向かっている。
「それで、こっちは、っと……」
今度は画面に、暗い炭鉱の中に二人の少女が戦っている様子が映し出された。
扉に向かった男も、再び画面の前に向かった。
「おい、まだあんなのと似たような奴がいるのか」
「どうやら、今回が初の実戦投入らしい」
「あの高速のアンドロイドに、今度は怪力のアンドロイドか…研究対象が増えたな……うっわ、なんだこの馬鹿力。まるでゴリラみてぇだな」
「フローヴァはもう二機も戦闘用アンドロイドを生産している。凄まじい技術力だ」
一人の男は画面を見つめたまま、指を動かす。
「そういやなんで軍はあのデカブツ、あんな狭っ苦しいとこに配置したんだ?」
「あれは僕の要望だ」
「はぁ?お前の?」
「あのアンドロイドを調べるためには、それ相応の兵器と場所を用意しなければならない。そのためにはあの場所で殲滅大型戦略兵器spd-Ⅱと戦ってもらう必要があった」
「せんめ…何だって?」
「殲滅大型戦略兵器spd-Ⅱ、お前の言う『デカブツ』の名前だ。中々の自信作だったのだがな」
もう一人の男は首を捻りながら、男の話を聞いていた。
「それに、今回は破壊される寸前に炭鉱ごと破壊し残骸を沈めることで、こちらの技術が露呈するのが防げた。その方が効率的だろう?」
「効率的っつーかなんつーか…お前…意外と大胆なところがあるな…」
もう一人の男はそう言うと、左胸のポケットからタバコを取り出し、ライターで火をつけた。
そのまま部屋から立ち去ろうとする。
「そういえば、今度は君も出撃するのだろう?」
「まぁな」
「いいデータが取れることを期待している」
「なんならあのアンドロイド、
一人の男は不敵に笑う。
「……ああ、その方が助かるね。よろしく頼むよ。ドラグノフ・ヴァイマン」
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