6話 穏やかな日々

「はあっ!!」


的に向かって狙いを定め、放つ。

真っ直ぐに伸びる私の触腕サブウェポンは、十メートル先の的の中心を貫いた。


「……よし」


ソレイユとの模擬戦闘から数日が経ち、私はサブウェポンの練習をしていた。

以前戦った人型機械兵器との戦闘では十全に使えていなかったが、今ではかなり正確に狙いを定めることができる。

十五メートル以内ならば外すことはないだろう。

さらには、このサブウェポンの利点は遠距離攻撃のみでは無いという事にも気づいた。

計三十本もあるこの兵器は一本一本が鞭のような構造をしているが、複数本用いることで壁や縄のように応用することができる。

もっとも、そのためには度重なる練習が必要ではあるが。


「ある程度感覚も掴めてきたし、今日はこんなところかな」


サブウェポンの練習を終えると、ばたん、と勢いよく扉を開く音がした。


「リリィおねぇちゃーーんっ!!」


ソレイユがそう大声をあげながら、兵器実験室に入ってくる。

そのままの勢いで、私に飛びついてきた。


「わふっ!?」


私は驚きながらも、なんとかその小柄な身体を受け止め、地面に下ろす。

ソレイユは戦闘時に自分の身体以上の副腕を装備していたが、非戦闘時には外しているらしい。

まぁ、あのような巨大な腕は普段は邪魔だから、当たり前と言えば当たり前なのだが。


「ねぇねぇ見て!これ!」


ソレイユは部屋に入るや否や、何故か得意げな表情で、手に持ったリンゴを差し出してきた。


「……???」


どういうことだろうか。

その光景に、私は首を傾ける。


「いや、だから!ほら!」


ソレイユはまた手に持ったリンゴを私の目の前に持ってきた。

くれる、ということだろうか?


「……?ありがとう……?」


私はとりあえずリンゴを受け取ることにした。

ソレイユはむぅ、とした表情でこちらを見つめてくる。

どうやら違ったようだ。

彼女の様子に困惑していると、後ろからクリス博士が兵器実験室に入ってきた。


「彼女、だろう?」


「……!ああ」


確かに、以前は私の手を掴んだだけで握り潰していたが、今はちゃんとリンゴを持つことが出来ている。

物体にかける力の調節、というのが今後の彼女の課題であった。


「まさか、ここまで力の調整に練習が必要になるとは思わなかったよ。練習を始めた頃は指でつまもうとしても、リンゴを潰していたんだから」


クリス博士が溜め息混じりに言う。


「へっへーん!もうこれくらいなら楽勝!」


ソレイユは腰に手を当て、自信満々でそう答えた。


「ふふっ、えらいえらい」


「えへへぇ」


ソレイユの頭を撫でると、今度は可愛らしい表情ではにかんだ。

……成程、妹というものはこういうものなのか。


「とりあえず、今度は鉄製のフォークを使う練習だ。へし折らずに持てるようになるまでやるよ」


「えぇ〜?まだやるの〜……?そろそろ遊びたーい」


「練習が終わったらね」


「はぁーい」


ソレイユは露骨に嫌そうな顔をしながらも、別の部屋へと向かっていった。

クリス博士も部屋から出ていく、かと思いきや、直前で振りかえった。


「……それとリリィ、今日はずっと戦闘訓練をするつもりなのかい?」


「いえ、この後中央都市部の方に」


そう返事をすると、クリス博士は優しい笑顔を浮かべた。


「……そうか、いってらっしゃい」


……何でだろうか。

今日のクリス博士は、一段と穏やかな表情をしているような気がする。

その後は何も言わず、彼は兵器実験室を去っていった。

何か、いいことでもあったのだろうか。

それを見送った後、私は出かける準備をしてフローヴァ中央都市へと向かった。


ここ数日、フローヴァ中央都市部は天気に恵まれている。

天気は晴れ、気温も程よく、快適に一日を過ごせそうだ。

桜は以前から少し散ったが、それでもまだ綺麗な桃色の花弁が木々を彩っている。


「確か、ここだよね……?」


待ち合わせ場所である噴水広場のベンチで座っていると、遠くから大きな声が聞こえた。


「あ!リリィ〜っ!」


その声の主は大きく手を振って、綺麗な黒髪を揺らしながらこちらへと駆けてくる。

相変わらず、眩しいほどの笑顔だった。


「待った?セレーナ」


「ううん。私も今来たトコ」


そんな普通の人間らしい定型句のやりとりを交わしながら、セレーナは私の手を引いた。


「それじゃ、行こっか!」


私は彼女に手を引かれ、歩き出す。


……今こうしてセレーナと出かけているのには、理由がある。

それは一ヶ月程前の話だ。

私はまだこの街に出入りするようになってから日も浅く、何処に何があるのか、どんな店や風景があるのかを詳しく知らない。

以前そのことをセレーナに話したら、


「じゃあ、今度一緒に出かける?この街のオススメの店とか、一緒に見て回ろうよ」


と言われ、現在に至るのだ。


彼女に手を引かれ、街の中央にある噴水広場を横目で見る。

そこでは多くの人が集まり、出会い、言葉を交わしていた。

思えばこの街を訪れるようになってしばらく経つが、私はこの街のことを遠目で見て得た情報でしか知らない。

実際に人と関わり、詳しく知っていることは少ないのだ。

……隣にいるセレーナの事でさえ、私は詳しくは知らないのである。


「じゃあ、まずはあのお店から行こっか!」


再び彼女に手を引かれ、店の中へと連れ込まれた。

店の中には鮮やかな服が沢山並んでいる。

人も多く、人気の店なのだろう。

お洒落な雰囲気の人たちが沢山いて、少し緊張する。


「でも、私には綺麗な服なんて必要な…」


必要ない、と言おうとしたが、既にセレーナは服を数着持って目を輝かせている。

……どうやら、私に断る権利はないらしい。

彼女の笑顔圧力に押され渋々試着室に入り、彼女から渡された服を着てみることにした。

私は与えられた服に袖を通し、カーテンを開く。


「おぉ〜!!すっごくかわいい!!!」


セレーナがあまりにも大声で褒めるから、店の店員や客の視線がこちらに集まる。

気恥ずかしくなり、目線を逸らした。

逸らした目線の先には、鏡に映った自分の姿が映っている。

薄い桜色のワンピース。

足元も隠れて見えないため、人間の姿とほぼ大差無い。


「これが、私……」


くるくると身体を動かしながら、鏡の中の自分の様子を確認する。

初めてこの街を訪れる前に見た私の姿とは、少しばかり印象が変わった自分の姿が映っていた。

……私は、アンドロイドだ。

しかし、今はこうして人間の服に袖を通し、同じ出立ちでここに立っている。

まるで、のように。



「……他の服も、着てみてもいいかな?」


そう尋ねると、セレーナは両手に服を持ちながらまた笑顔でこちらを見つめていた。

……さっきよりも服の数が増えている気がする。

そうして数時間に渡り、服の試着をすることになった。

途中何故かやたらとヒラヒラした服や、ちょっと大胆な服もあったが、そんな服、店内にあっただろうか……?


「うぅ……なんか、着せ替え人形にされてる気が……」


「あはは、ごめんごめん、素材がいいから、つい。……気に入った服はあった?」


「うーん、よく分からないけど……これとかは、結構いいかなって」


私は最初に試着したワンピースを手に取った。


「うん、私もそれが一番似合うと思う!」


「じゃあ、買っちゃおう、かな……?」


長時間の試着の末、私は最初に選んでもらった服を買い、そのまま着ていくことにした。

他にも彼女が選んでくれた服を三着ほど買い、店を後にする。


しばらく街を歩くと、見覚えのある店にたどりついた。


「おや、セレーナちゃん。また来てくれたのかい?」


「ここのシュークリーム、美味しいですから!」


私が初めてこの街を訪れたときに来たシュークリーム屋だ。

今日もあの時にあった女の人が店頭のようだ。


「あら、そっちの子はあの時の……?知り合いだったのかい?」


「私の友達です!」


セレーナは元気よく、そう答えた。

友達、新鮮な響きだ。

私は彼女と出会ってまだ数ヶ月しか経っていない。

私は彼女のことをよく知っているわけでもなく、彼女もおそらく、私のことを詳しく知っているわけではない。

そんな関係の中で、友達と呼ばれたことは意外だった。


「いちごシュークリーム二つで!」


「ふふ、いつものね」


セレーナはシュークリームを二つ受け取り、笑顔で店を後にする。


「はい、コレ」


買ったシュークリームをひとつ、差し出される。

それを受け取り、食べながら再び街中を歩く。


「……ねぇ。一つ聞いていい?」


「ふぇ?なひ?」


セレーナは口にシュークリームを頬張ったまま、こちらに目線を向ける。


「さっき、私のこと『友達』って言ったでしょ?」


「それがどうかしたの?……あ、『彼女』の方が良かった?」


セレーナはいつもの通り冗談混じりに答えた。


「そ、そうじゃなくて!」


「……私はまだ、セレーナについて詳しくは知らないけど、そんな私が、『友達』でいいのかな…?」


「んー……。リリィは私のこと、友達って思ってないの?」


「それは……分からない」


しばらくの間、沈黙が続く。

友達。

その定義は曖昧なものだ。

その状態はどこまでの友好関係によって成り立つのか。

期間はどれくらい必要なのか。

相互の認識によって定義されるものなのか。

……私には、分からない。


「……少なくとも私は、リリィと友達でいたいと思うな」


セレーナが私の数歩先を歩く。


「だって、一緒にいて楽しいもん。お互いのことを詳しく知らなくても、こうやって一緒に歩いて、いろんな買い物をして……。友達になりたいって思った時点で、私にとってリリィは友達だよ」


彼女が笑顔でこちらに振り向く。

花園に咲いた、ひときわ輝く花のように。


「じゃあ……セレーナも、私にとって友達だね」


「ふふっ、よかった」


セレーナはニッと笑い、私の手を取って歩き出した。


「よし、じゃあ今度はあそこのお店!私のおすすめは特大サイズ大粒いちご使用チョコレートバナナパフェホイップ増量トッピング全部のせスペシャル!」


「特だ……え?」


さっきシュークリームを食べたばっかりなのにまだ食べるらしい。

……結局、その後も二軒ほどスイーツ巡りを続けた。

一体あの身体の何処にあの量のスイーツが吸い込まれていったのだろうか。

私の体内消化器官も、処理が追いつかなくなってしまいそうだ。


そうこうしているうちに時が過ぎ、空はオレンジ色で、街の賑わいも昼頃と比べ静かなものとなっていた。

人通りも少なく、閑散としている中、セレーナと二人で街頭を歩く。


「いや〜今日は楽しかったな〜」


「……なんか、食べてばっかりだった気がする」


「そう?……いや、確かにそうかも」


「そんなに食べたら……その、太るんじゃないの?」


私はやや無粋な質問をする。


「甘いスイーツは乙女のエネルギー!必要な栄養素なんです!」


セレーネは胸を張って、堂々とそう答えた。


「……そういえば、リリィは太らないんだよね。いいなぁ、スラッとした体型を維持できて」


「まぁ、それは……」


アンドロイドの食事は主にエネルギー補給の意味がある。

人間とは違い脂肪として身体に蓄えたりすることなく、すぐに消化することでエネルギーとして運用しているため、人間における「太る」という事象は発生しない。

……と言っても、そのエネルギー生成効率は充電するよりも効率はよくない。

正直、無駄な機能にも思える。

博士たちはどうして、このような機能をつけたのだろうか。


「でも、セレーナだって全然太ってないじゃん」


「まぁ、私太りにくいみたいなんだよね」


「ふぅん……」


ここまでの数時間を通して、セレーナはかなりのスイーツ好きだということが分かった。

しかもあの尋常じゃない量を、それなりの頻度で食べているらしい。

いくら太りにくいといっても、流石に体型に影響は出るはずだ。

一体あの栄養はどこに……


「……あー」


「ん?リリィ?」


彼女の体の一部を見て納得する。


「……確かに私は太らないけど、身体的成長もないから、一長一短かな」


「ふーん、そっかー」


彼女は人差し指を口元に当て、そう答える。

……私は私自身と人間セレーナの差を、深く胸に刻みつけることにした。


そうしてとりとめの無い話をしながら歩いていると、ふと、蝶が耳元を横切る。

私はひらひらと飛んでいく蝶を、気づけば目で追っていた。

遠くにある三階建ての家の、窓辺に飾られている花に止まろうとしているのが見える。

———ここからの距離は五十メートル程だが、私の目ならその詳細まで確認することができる。

花の色やその本数まで数えられるほどだ。

すると、窓のある部屋から小さな子供が顔を出した。

子供はしばらくその蝶を見つめている。

まるで宝石でも見ているかのように、目を輝かせながらじっと見ていた。

そうしているうちに彼は蝶に向かって手を伸ばし、て——!?


「っ!?危ないっ!!!」


咄嗟に駆け出した。

子供はよろめき、窓の外へと身体が傾く。

身体が外に投げ出され、空中へと出る。

……子供が地面に落下する前に、なんとかしなくては。

脚部への魔力循環を最大にし、地面を蹴り飛ばすようにして最高速まで加速する。

戦闘用の装備も無く、今は飛行することは出来ない。

しかし、この高さなら……!


子供は完全に外へと身体が放り出され、落下していく。

子供までの距離は約三十メートル。

まだ速度が足りない。

間に合わせるために、さらに加速する。

私からの距離はあと約十五メートル。

子供と地面までの距離は約七メートル。


「届、けぇっ!!!」


足に力を込め、さらに全力で跳躍する。

その一飛びで、落ちていく子供まで近づけた。

そのまま、空中で子供の身体を抱きかかえる。

その後は身体を縦に一回転し、着地する。

私は抱えた子供の様子を確認した。


「はぁ、はぁ、っ…………大丈夫?……怪我は、ない……?」


少年は驚きながらも、こくっと頷いた。


「よかった……!」


ほっと、胸を撫で下ろす。

するとすぐに、家の中から母親らしき人が現れた。


「よかった……!本当に、本当にありがとうございます……!」


母親は泣きながら子供を抱きしめ、息が詰まりそうになりがらも、私にそう言った。

すると、後ろの方からぱちぱちと、拍手が聞こえてくる。

振り向くと、店を閉めようとしていた街の人たちが私に向かって拍手していたようだ。

どうやら街の人たちが、今の一瞬の出来事を見ていたらしい。


「よくやったお嬢ちゃん!あんたは街のヒーローだ!」

「落ちたときはびっくりして心臓が止まるかと思ったけど、助かって本当に良かったわぁ」


あっという間に、注目が私へと集まる。

突然の拍手喝采に困惑していると、さっきの母親と子供がこちらへやってきた。


「助けてくださって本当にありがとうございます。なんと感謝を申し上げたらよいか……」


抱きかかえられた子供は、そのまん丸な目をこちらに向けながら、


「おねぇちゃん、ありがとう」


と言い、さっき見ていた花を渡してきた。


「あ、ありがとう……」


すると街の人たちからも、


「俺からも、こいつをやるぜ!」

「わたしからも!ぜひ持っていって!」


と、次々に果物や魚、工芸品など様々なものを貰ってしまった。

少し気恥ずかしさを感じながら、両手いっぱいに贈られたものを持っていると、


「リーリーィーっ!」


遠くから、セレーナが息を切らしながら走ってきた。


「はぁ、はぁ……っ。急に凄い速さで走り出すからびっくりしたよ。……よくあの距離から気づいたね」


「たまたまだよ。……装備は無かったから最高速では無かったけど、間に合って良かった……」


私はその後も街の人たちからの賞賛の言葉を浴び、夕暮れ時とは思えないほどの騒ぎに包まれてしまった。


……ひととおり騒ぎが収まった後、再びセレーナとともに夕焼け空の中を二人で歩く。


「……やっぱり、リリィはすごいな」


ふと、セレーナがそう呟いた。


「いつもみんなの為に戦ってくれて、ああやって人を助けることも出来るんだから」


みんなの為に戦う。

その言葉がとても印象的だった。

始めから私は私自身を戦う為の存在として認識していた。何の為に戦うかなど、考えたこともなかった。


「みんなの為に戦う、か……」


「……リリィ?」


「ううん、なんでもない」


もし私が今何のために戦うかと問われたら、この街のため、この街に住む人々のため、そして……。

隣を見る。

彼女もこちらを見ていた。


「リリィは、私の自慢の友達だよ」


セレーナは笑顔でそう言った。

とても眩しい笑顔だ。


「それじゃあ、またね」


「ええ、また」


日が沈むなか、噴水の前で彼女と別れた。

セレーナは大きく手を振りながら去っていく。

それに答えるように私も手を振り返し、彼女が見えなくなるまで手を振り続けた。


「……そろそろ、私も戻らなくちゃ」


茜色に染まった空を見上げながら、広場を後にする。

静かになった街を通りながら、今日のことを思い出す。

私の知らなかった街の様子。

私が知っていたと思っていて、実は知らなかった街の様子。

私の知らない、セレーナの一面。

色んなことを知ることができた。

こうして知れば知るほど、その存在の唯一性、重要性が確かなものになっていくのを認識する。


「……明日もサブウェポンの練習、がんばらなきゃ」


街からアンドロイド開発局まで、そう時間はかからなかった。

施設の中に入り、自分の部屋へと歩いていく。


「あ、お姉ちゃん、おかえりー!」


廊下でソレイユが元気に出迎えてくれた。


「その服かわいー!」


「そ、そう?」


「うん、よく似合ってるよお姉ちゃん!」


「それなら良かった。……ふふっ」


突然の賞賛に、思わず笑みが溢れる。

私たちが廊下で話していると、クリス博士もメンテナンス室から顔を出す。


「あ、クリス博士。お姉ちゃん帰ってきたよ。

……クリス博士も、さっき帰ってきたばっかりなんだよ」


「ただいま戻りました。……クリス博士も、出かけてたんですか?」


「おかえり、リリィ。……ああ、ちょっと昔の友人に会いにね……って、その荷物どうしたんだい?」


クリス博士が私の両手に持った荷物を指さす。

片方には買った服が、もう片方には街の人たちから貰ったものがぎっしり入っている。


「少々買い物を。……それと、他にも色々あって……」


「へぇ、何を買ったんだい?」


「服を二、三着ほど。……街へ出かけるときには、こうした服装の方がいいかな、と思ったので」


私がそう答えると、クリス博士はにっこりと笑った。


「たしかに、普段の服はあまり用意してなかったね。……そういう所には気が回らなかったなぁ」


「いえ、これは私の都合なので。……それに、自分で選ぶのも悪くはないかな、って」


私は自分の買ってきた服を見る。

……今度街に行くときは、どれを来ていこうか。

そう考えていると、ソレイユが駆け寄ってきた。


「お姉ちゃん!今日の練習は終わったから、私とあそぼーっ!」


「はいはい」


そう言って、ソレイユは私の手を引き、自分の部屋へと連れていった。

彼女の表情は、相変わらず元気なままである。

手に持ったたくさんの荷物の重さが、少し心地の良いものに感じられた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る