第17話 一週間




 何故、瑠衣るいが仕事をしている最中に、彼女の傍らでバーベキューをしているのか。

 記憶喪失になってしまったので理由がわからず、自分の行動を疑問に思いながらも、どうしてもそうしなければいけないという想いに駆られ、騎士としての仕事もないので、瑠衣の傍らでバーベキューをしていたのだが。

 何となく、わかってきた。

 瑠衣は仕事中でしか、






「ご馳走様でした」

「ああ」


 瑠衣と禾音かのんが『蒼黒城そうこくじょう』の近くの平屋で同居生活を始めて、一週間が経った。


 朝食は、コーンフレーク入りのホットケーキか買って来たパン、季節の果物、具沢山おにぎり、季節の野菜具沢山味噌汁。

 昼食は、バーベキュー、もしくは、城下町で買ったお弁当類、あるいは、寮で出される昼食。

 夕食は、禾音が作るバイキング式料理。

 朝昼夕と、大体のご飯のメニューが固定してきた頃である。

 まだ、一度も料理をしていない瑠衣は夕飯の後片付けをしながら、そろそろ自分も作った方がいいのではないかと考えていた。


(まあ、絶対。禾音が作った方が美味しいんだろうけど。禾音自身も言っているけど。流石にずっと、作ってもらうのは)


 洗濯は各々で、掃除は瑠衣が仕事の時は禾音それ以外は瑠衣、朝食の後片付けは禾音、夕食の後片付けは瑠衣、買い物は禾音、その他細かい諸々の家事は禾音と、家事も禾音に負担が偏っていた事も気になっていた。

 騎士の仕事をしていないから当然だと禾音は言っているし、有難いと甘えさせてもらっているわけだが。


(家事をしないわけじゃないんだけど、私は、ゆっくり休み休みしてるからなあ。手を抜いている事も多いし。その点、禾音は料理と同じでテキパキ短い時間でこなしてるし、手を抜いてないし。やっぱり騎士って、日常生活でもスマートに何事もこなさないといけないのかな?それとも、禾音が色々と優秀過ぎるのかな?疲れないのかな?)


 騎士としての毎日の鍛錬も欠かしていない。どころか、家事をしていない時は、ご飯を食べたのちの一定時間を除いて、何かしら身体を動かしているような気もする。


(時々、寝ている姿を見る時もあるけど、その時も、どこかしら身体が動いているし。休めているのかな?騎士の職業病みたいなものなのかな?)


「終わったよ。禾音」

「ああ。じゃあ、行くぞ」

「うん」


 食器を洗い終わって拭き終えてと、夕飯の後片付けが終わった瑠衣は、ソファに座って書物を読んでいた禾音に話しかけると、禾音は立ち上がってテラスへと向かった。


 一週間前、夜空を見ようとの約束したのだが、その日も、その日以降も連日、急な雨が降って叶わなかったのだが、今日にしてようやく、その約束を果たせそうだったのだ。











(2024.7.17)



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