第16話 バイキング形式




 人参サラダレモンドレッシング。

 ミックスビーンズサラダ。

 トマト、キュウリ、カイワレ、紫蘇のミックスサラダ。

 湖藻とおきゅうとのサラダ。

 マカロニサラダ。

 ポテトサラダ。

 オクラ、ナス、ピーマンの味噌炒め。

 厚焼きハム焼き。

 スクランブルエッグ。

 じゃがいも、人参、玉ねぎ、鶏肉のカレールー。

 トマト、玉ねぎ、ピーマン、ベーコンのナポリタン。

 鶏肉のから揚げ。

 小鮎の甘醤油煮込み。

 乾燥蜆の味噌汁。

 乾燥蜆の炊き込みご飯。

 白米。




「もしかして、騎士団の料理番として働いているの?」

「ちげーよ」

「騎士として働く前は、料理店で働いていたとか?」

「記憶喪失だから断言できねえけど、働いてないだろう」

「働いていなくても、こんなに早く、こんなに品数を多く作れるんだ」

「こんなん、誰でもできるだろ」

「できないし」

「そうか。できないなら、できないでいい。人それぞれだからな。俺ができないおまえの代わりに作ってやる」


 保冷大皿にサラダ類、保温大皿におかず類、鍋にスープ類、お櫃にご飯類が盛られては、整然と並べられたテーブルの前に立っていた瑠衣るいは、禾音かのんに手渡された仕切り皿を受け取って、どうもありがとうございますと頭を下げた。


「でも、私も作るよ。短時間でこんなに多くの品数を作れはしないけど。全然料理ができないわけじゃないし。あ。でも、私の手料理を禾音が食べたくないなら作らないよ」

「………おまえが休みの時は、頼む、時があるかもしれないが。基本的には俺が作る」

「休みだからって、張り切って料理しようとは、思わないけど。いい?」

「別にいい。期待してない」

「うん。期待しないでね」

「腹減った。食うぞ」

「うん」


 一種類ずつ仕切り皿に取り分けて行く瑠衣を横目にしながら、禾音は丼にじゃんじゃんとつぎ込んで行くのであった。











(2024.7.13)



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