第15話 バーベキュー
『食べ物が美味しいと思わなくなっちゃった』
記憶に残っている
いや、本当に面と向かって言われたのか、自信はない。
もしかしたら、夢の中でのみの出来事だったのかもしれない。
淡々とした物言い。
能力が開花した代償で別に悲しむ事はないと、そう言っているようで。
だったら。と、思ったのだ。
だったら、そんな能力さっさと捨てちまえ。
そんなに後生大事に抱え込むな。
何で、そんなに、
そんなにあいつが、
「冷蔵庫に食料を詰め込んでるって言っていたから、丘から下りて買い物に行かなくていいけど。どうする?今日はもう寮に戻って、別々にご飯を食べる?料理しなくて済むし」
『
偶々外廊下で出会った
冷蔵庫、冷凍庫、野菜庫、常温庫にたっぷりと食料を詰め込んでいるからね。
『二人ともたくさん食べるからね。食料費は禾音クンが記憶を取り戻すまでは、騎士団団長が出すから、食料が足りなくなったら気兼ねなく請求するんだよ』
(凪局長だけじゃなくて、騎士団団長にも、期待されてるんだ。やっぱり、騎士としてすごく実力があるんだ)
凪に礼を言ってその場で立ち止まり彼を見送った瑠衣は、その場に留まって禾音に尋ねた。
「食料を用意してもらったなら、毎日寮でご飯ってわけにはいかないけど。今日は初日だし。今から料理するのも大変だし。でも。レトルト食品があれば、お湯で温めればいいか」
「いい。俺が作る。行くぞ」
「え?あ。うん」
(あ。そっか。バーベキューなら、材料を切って、焼けばいいから。楽。か、な?あれ?もしかして、禾音って、ずっと、バーベキューしか食べないのかな?)
(2024.7.12)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます