第2話 刃を持つ

小学校に入ってもう3年がすぎた。

学校ではそれなりに上手くやっていて、友達なんかもわりといる。


しかしその友達に、最近は「嫌がらせ」をされていた。


恐らく、何も文句の言わない私にやってみたくなったのだろう。


ものを隠したり

ありもしない噂を流されたり

ハブられたり


しかし私は


ものが無くなれば借りれば良い

噂など堂々としていれば消える

1人になれるのならちょっと遠回りして帰るも良い


ぐらいにしか思っていなかった。


本当は「友達」と思っていなかったのかもしれない。だから、特に何も思わず、動じずにいたのかもしれない。


そんな私は冷たいだろうか


いや、軽はずみにそんなことをする友達はいずれ私の事を裏切るだろう。


そこら辺の線引きが

この頃から私は上手かったのかもしれない


すぐにこの嫌がらせはなくなった

つまらなかったのだろう


ターゲットは他に移った


その子の名前は「ヤマ」とでもゆっておこうか


山は実にいい反応をした。

何を言われても真に受け「やめてよ…」と小さく言うだけだった。

だからどんどんエスカレートして行った


最終的には「いじめ」になり、耐えられなくなった彼は転校していった。


最後に山が私に言った言葉はよく覚えている

そしてこれからも、忘れることは無いだろう


この後に山に瓜二つな男の子が転向してきた。

しかしこの子は虐められなかった。


初めはものすごくいじられていたが、転校生は私と同じく動じなかったのだ。


バカにされれた時は話を聞かず

嫌味は褒め言葉だと受け取った

おまけに空手の黒帯


それを知った途端誰もいじらなくなった



いじめは自分の強さに自信が無いから

「自分は強い」と肯定するために行うのだ。


その剥き出しの刃は簡単に折れる

鋭く見えるだけで突いてやれば壊れてしまう


だから私たちは見る目を育てなければならない

ものの本質を見ればなんてことないのだ

そして、全員が持っているその刃を毎日とぎ

隠し持っていなければならい


私はこの日、人間は意外と単純だと学んだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る