メイド日記⑩
季節は秋。
ここに来て半年以上が経ちました。
幸せな日々は今日も継続しています。
少し肌寒くなってきましたが、心はいつも暖かいです。こんな穏やかな日々を過ごせているのは全ては宗司さんのお陰です。
先日映画館に映画を見に行きました。
実は映画館で映画を見るのは初でした。
大きな画面と迫力のある音響。
ちょっと癖になりそうでした。
その日は立て続けに2本見ました。
一つは有名なロボットアニメ。
二つ目は恋愛映画です。
ロボットアニメに関してはロボットよりも、アニメの最終回からキャラの関係性がどう変わったのかが丁寧に描かれていました。
勿論戦闘シーンもアニメよりも迫力があり、見応えがありました。
しっかり履修したおかげで大変楽しめました。
すっかりハマってしまいました。
次の日一緒にプラモデルを作りました。
これも初でしたがすごく楽しかったです。
ヤスリを使って綺麗にしたり、色を塗ったり奥が深かったです。自分好みの色にしてオリジナル機体に出来るのは醍醐味だなと思いました。
最初は好きな人の好きなものを知りたいということから始まりましたがすっかりハマってしまいました。
今度プラモデルの専門店に連れて行ってくれるそうです。今から楽しみです。シリーズもたくさんあるので履修しておかないと。
2本目は今話題の恋愛映画です。
途中で達也さん、茜さんに会いました。
2人はちょくちょく家に来てくれてますが、まさかデートのタイミングが被るとは思いませんでした。
恋愛映画を提案したのは私なので、茜さんには申し訳ないことをしました。
達也さんはあんまり恋愛に興味がないようなのであまり茜さんの気持ちを汲み取れないところがあります。
なんとかうまい感じに離れられたのでよかったです。茜さんの宗司さんを見る目が怖かったです。まぁ私も逆のことをやられたら流石にショックなので茜さんの気持ちはわかります。
達也さんにはなんとか頑張ってもらいたいですが映画館を出る際にチラリと見た際は完全に寝ていました。残念なお兄ちゃんです…。
恋愛映画は悲恋でした。
病気の女性と支える主治医のお話です。
完全に陰鬱な雰囲気ではなく濃厚なイチャイチャとちょっとしたギャグ。
怒涛のクライマックスへの一直線。
完璧すぎる脚本と名演技は今後も語られる一作となるでしょう。
リアルタイムでこの作品を見れたことに感謝しかありません。
同じ時代に生まれてくれてありがとうと思いました。
宗司さんの感想も大体私と同じ感じでした。
感性が合う人とは何をしていても楽しいです。
お互いに感想を語り合い、原作の小説を買いました。お互いに読んで感想を言い合うのも楽しそうです。
今からすごい楽しみです。
夕食の前に私達は夜景を見に行きました。
少し肌寒かったですが、宗司さんが自分のジャケットをさっとかけてくれました。
そのスマートな行動にキュンとします。
宗司さんの匂いに安心感と高揚感を感じ、私は幸せに包まれます。
夜景はとても綺麗でした。
好きな人とこんな綺麗な風景を見れるなんて思っていませんでした。
私は政略結婚の相手を勝手に決められて、感情もなくただ作業のようにお世話をするんだと思っていました。
そしてなんの感情もなく子供を授かり育てるのだと思っていました。
私はただの人形です。
親の求めるように動く生きた人形。
人形が何かを求めてはいけないと思っていました。だから両親が死んだ時はこの世の終わりだと思いました。
親の言いなりとして生きてきた私には自分の意思というものがほとんどなかったからです。
そんな私が愛する人を得て、そして今こうして幸せな気持ちで生きている。
神様は優しすぎです。
『月が綺麗だな。』
横から聞こえる宗司さんの声。
ドクンと心臓が跳ねました。
意味など込めてないでしょう。
それでも私はこう返しました。
『ずっと一緒に月を見たいです。』
永遠が本当にあるのなら、永遠に貴方と一緒にいたいという気持ちを込めました。
月だけじゃなく、色んなものを貴方と見ていきたい。顔を見ると宗司さんの顔は真っ赤になっていました。
そして言葉の代わりに私を抱きしめてくれました。優しくて暖かい腕の中で私は目を閉じます。今、時間が止まればいいのにと本気で思いました。
夕飯はピザでした。
宗司さんはマルゲリータで私がクアトロ・フォルマッジを頼んでお互いにシェアして食べました。パスタも有名みたいでしたが今日の目的はピザです。とても美味しかったです。
今度来た時はパスタを食べようと宗司さんは言ってくれました。
さらっと当たり前のように次の約束をしてくれる宗司さんの事を愛おしく思いました。
帰りの車の中で指輪を一緒に買いに行こうと言ってくれました。
自然と涙が出ました。
もちろん嬉しかったからです。
愛されてると思いました。
もっとロマンティックに言ってもらいたいと思う女性は多いかもしれませんが、私はさらっと家族になろうと言ってくれたことが嬉しかったのです。
自然体で背伸びもしない。
それが私の愛した人なんだと思います。
きっとこれから先、生きていれば辛い事や苦しいこともあるでしょう。
それでも私は自然体で生きていける彼と2人で歩んでいきたいと思います。
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