メイドの1日

ぴぴぴぴ

目覚ましの音で目を覚ます。

横を見ると愛しい人の寝顔がそこにあります。

それだけで幸せを感じてその唇にそっと自分の唇をあてます。これは私のルーティンです。

宗司さんはこれくらいでは目を覚しません。

大体起きるのは9時過ぎです。

必要性があるときは目覚ましの音で起きるけれど普段はこんな感じです。

私はまず猫ちゃんたちのトイレを掃除します。

自動トイレなので難しいことはありません。

一通り終わると自分の部屋に行きバッチリ化粧をします。素っぴんは見られてはいますが起きている時は最高に可愛い状態を見て欲しいです。

それが終わるとメイド服に着替えます。

これは美麗というキャラが着ているメイド服のコスプレ衣装です。ちょっと複雑な気持ちになりますが、宗司さんが私に目を止めたのがこのキャラのおかげなので私もゲームをプレイして彼女の人となりは理解しています。

美麗と私は所々似ていました。

彼女は財閥の娘で親の愛情に飢えていました。

両親が事故で他界してからは主人公の家にメイドとして雇われることになります。

最初は嫌々でしたが主人公の優しさと愛に触れてその気持ちが恋に変化していきました。

私は一目惚れの様なものなのでそこは違いますがそれ以外はほぼ酷似していると言ってもいいでしょう。

私も両親から構われずに寂しい幼少期を過ごしました。なので親の愛に飢えていました。

ただ美麗は容姿端麗、運動神経抜群、成績優秀という完璧超人なので勝つ事は不可能です。

宗司さんが理想を追い求める人物だった場合は今の関係にはなれなかったでしょう。

メイド服を完璧に着こなすと時間は7時になるところでした。

先ずは洗濯です。

パタパタと下に降りて洗濯物の仕分けから。

宗司さんはあまり服に関心がないようで結構色落ちしてしまっているものもあります。

本人はとりあえずブランドを着ておけばなんとかなると仰ってました。

普段スウェットばかり着ていたら茜さんと達也さんに少しはなんとかしなさいと言われたそうです。

今度一緒に服を買いに行こうと思いました。

ブランド物ばかりでは堅っ苦しい時もあると思うので大量生産された服も色々着せてあげたいと思います。

一通り仕分けたら洗濯機を回します。

時刻は7時半。宗司さんが起きてくるまであと1時間半といった所です。

冷蔵庫を確認して朝ごはんを考えます。

チーズと卵と厚切りのベーコン。昨日のうちに作っておいた特製のトマト缶を使ったソースとパン。朝ごはんはホットサンドにします。

宗司さんの大好物です。

一通り下準備が終えたタイミングで洗濯機が止まる音がしました。

タイミングバッチリです。

ぱぱっと取り出して乾燥機に入れます。

乾燥機が回り始めたタイミングでケトルの音が鳴ります。パタパタと移動してコーヒーを入れると階段から降りてくる音が聞こえました。

「おはよう。美憂。」

「おはようございます。宗司さん。」

コーヒーを差し出すとありがとうと宗司さんがコーヒーを受け取ります。

ホットサンドメーカーを起動して、そっと新聞を差し出すと宗司さんが私の頭を撫でてくれます。胸が高鳴ってしまいますが今は時間に追われているので甘えるのは後にします。

ホットサンドが完成すると2人で食事です。

宗司さんの今日の予定を聞いて午後の予定を組み立てます。大体仕事、家で休息、筋トレといった感じですが、たまにデートに誘ってくれたりもします。今日はお仕事との事でしたが、お手伝いは大丈夫との事でした。となれば本日はガッツリ掃除をしたいと思います。

ご飯を食べ終わると食器を軽く流してから食器洗浄機に入れます。

大体このタイミングで乾燥機が止まります。

パタパタと移動して洗濯物を取り込みます。

洗濯物が終わったらまずコーヒーを入れます。

そっと仕事場の扉を開き宗司さんは集中モードに入っていました。

こうなるとあんまり周りが見えなくなります。

コーヒーを新しいものと入れ替えて仕事場を出ます。お昼の為に炊飯器のスイッチを入れたら次は2階に向かいます。

トラちゃんに餌を上げに2階行くとなんとか食べてくれました。最近は元気がなくて毎日とても心配です。宗司さんはお忙しいですし、私も不安なので2時間に一回は様子を見に来ます。

ましろが近づいてきたので私は頭の上に乗せてあげました。そろそろ重くなってきましたが来年にはもうできなくなりそうなので今はこうしてあげています。

一通り2階の掃除を終えた頃にはいつも通り11時半になっています。

宗司さんが仕事の時は一緒にご飯は難しいので簡単に食べれません。

おにぎりをいくつか作って果物を切りお皿に並べます。これなら手も汚れません。

仕事場をそっと覗くとパソコンと睨めっこする宗司さんが見えます。

この真面目な横顔にいつもキュンとします。

そっとお皿を邪魔にならないところかつ手の届くところにおきます。

壁際の椅子に腰掛けて宗司さんを眺めながら私も昼食を取ります。一緒には食べれないけれど一緒にはいたいです。食べ終わると仕事場をでます。

この家は豪邸です。掃除するところは多いです。

普段から綺麗にはしているので手間はありませんが一通り掃除機をかけます。

気になるところがあれば重点的に掃除をします。

掃除機をかけ終わり仕事場を覗くとお皿が綺麗になっていたのでお皿を回収して食器洗浄機にいれると時刻は16時。

1時間ほど休憩をする時間があります。

こういう日は猫ちゃんと遊べます。

タイマーを17時にセットしておもちゃで猫と遊びました。これが私の休憩時間の使い方です。

タイマーがなると少し寂しいですが猫ちゃんたちと別れて夕食を作ります。

今日はオムライスとサラダとコーンスープにします。今日のお仕事は切羽詰まっていないので恐らく18時ごろには終わるはずです。

そう考えながら作り終えたタイミングでガチャっと扉が開きました。

ナイスタイミングです。

「ごめん。待たせたか?」

「いえいえ。ピッタリでした!」

私が微笑むと頭優しく頭を撫でてくれます。

宗司さんに頭を撫でられるとふわふわして気持ちいいです。

宗司さんは美味しい美味しいと食べてくれます。

何を作ってもそう言ってくれるので料理を使っていて楽しいです。

そして食べ終わるとご馳走様と言ってくれます。

その優しい目が私は好きです。

夜の家事は宗司さんも手伝ってくれます。

一度私の仕事なので良いんですよと言ったのですが2人でやった方が早く終わるしその分一緒にいる時間が増えるからと頬をかきながら言ってくれました。

本当に優しい人です。

私はこういう一面見るたびにどんどん好きになります。家事が苦手なのに、苦手なりにやろうとしてくれる姿が愛おしく思えます。

片付けが終わると私達はいつも映画を見ます。

その部屋は暗室になっていて大画面、大音響で映画を楽しみます。

宗司さんは映画が大好きで沢山のDVDがあります。肩を寄せ合い好きな人とゆっくりと映画を見る時間は至福の時間です。

映画を見終えると2人でお風呂に入ります。

最初は緊張してましたが最近は慣れてきました。エッチな展開になる事はありませんが、宗司さんが私のことを大事にしてくれているのが伝わる大事な時間です。

お風呂から上がると軽く晩酌をします。

それが終わると私は日記を書きに一度部屋に戻って今日の思い出を書き綴ります。

それが終わると宗司さんの部屋に行き、彼に抱きしめていただきながら幸せな夢を見ます。

こんな1日が一生続いてほしいと思います。

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