メイド日記⑧
本日は宗司さんの取引先の人たちとの顔合わせでした。
会議室の扉が開いた先から出てきた美女には女の私でも驚きました。
背がすらっと高く、スタイル抜群。
顔も整っていてクマさえなければ完璧な美女がそこにいたからです。
話してみると気さくでいい方でしたが、こんな美人さんが宗司さんを必要な人だと言った時には肝が冷えました。
彼女は美貌だけでなく社長としてバリバリ働いているキャリアウーマン。
対する私は家事以外壊滅なポンコツ。
私に勝ち目があるとすれば宗司さんへの愛だけは誰にも負けないという事くらいです。
とりあえず佳奈さんは宗司さんへの恋愛感情は無いようです。
それどころか愚痴くらいは聞くから支えてあげてねと連絡先を交換してくれました。
私にとってはこの生活を始めてから2人目の女性の友人なので嬉しい限りです。
来年からはこちらで一年間お世話になるので更に仲良くできればと思います。
思いつきで茜さんと達也さんの同棲を提案してみました。どちらにしろ一年間家を開けると掃除も機械のメンテナンスも行えないのでちょうどいいのでは?という考えからです。
それとは別に一年間お互いの良いところ、ダメなところを見ることにより、結婚生活をリアルに想像できるのでは?と思ったのです。
私は茜さんに幸せになって貰いたい一心ですが有難迷惑にならないかも心配なのでまだ連絡はしていません。
宗司さんから伝えてもらえるとの事ですが達也さんが承諾してくれればきっと茜さんも乗ってくれるはずです。
キャンピングカーを使用した旅行も楽しみです。
行きたいところをリストアップするのも旅の醍醐味だなぁと宗司さんがぼやいていたので2人で計画を立てたいと思います。
今度本屋に行って旅行雑誌を何冊か買おうと思います。私はイベント担当なので今からやる気満々です。
飲み会は男、女で別れました。
男性は得意なわけではないので有り難かったですが基本人見知りなので宗司さんと引き離されたのは心細かったです。
しどろもどろになりながら話していましたが佳奈さんがフォローを入れてくれていたのでなんとか乗り越えることができました。
男性の方が盛り上がる声が聞こえ、そっちに目を向けようとした時、佳奈さんが立ち上がりました。
向かったのは1人の男性の背後。
一直線にゲンコツが落ちました。
うわぁ…と思っていると佳奈さんが宗司さんを連れてきてくれました。
心細かった私はすぐに宗司さんに抱きつきました。やはり宗司さんの匂いと暖かさは落ち着きます。
周りの人が騒いでいたのですが私は宗司さんの匂いを堪能するのに忙しかったので気になりませんでした。
佳奈さんが宗司さんの為と用意した別宅はとても素晴らしい家でした。
宗司さんの家ほど思い切った広さと設備ではありませんが目を引いたのはシステムキッチンです。
宗司さんは料理をしないのでキッチンにこだわりは無いみたいであまりお金をかけていないようですが佳奈さんはそうではないようです。
料理大好きな私には最高の環境でした。
宗司さんは目を輝かせている私にウチのキッチンもこれくらいやるかと言いましたが私の為にお金を使わせるのは悪いのでお断りしました。
頻繁にここを使っているのか業務用冷蔵庫にも一級品の材料が並んでいて目を輝かせました。
そんな私をワインセラーのワインを取りに来た佳奈さんが見て好きに使っていいわよと言ってくれたので私は楽しく料理をしました。
2人とも美味しい美味しいと食べてくれて私はとても幸せな気持ちになりました。
佳奈さんとの会話の中でもうプロポーズするのは決定事項だと勘違いするようなことを宗司さんが言ってくれました。
胸がキュンキュンして体が熱くなりました。
私は佳奈さんが帰った後に宗司さんを誘惑してみましたが激しく唇を奪われただけで手を出してはくれませんでした。
手を出してもらえると思ったせいか、キスだけで濡れてしまった私は変態さんなのでしょうか…。でもあそこまでやって手を出してくれない宗司さんも酷いと思います。
でも私のことを思って無理に手を出さない宗司さんも大好きです。
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