メイド日記⑤
旅行を提案した時、実は少し不安でした。
ですが宗司さんは快諾してくれました。
それどころかキャンプを提案してくれました。
予定では一泊のところ二泊できる事にときめきました。実は私は個人的な旅行をしたことがありません。
両親は過保護な上に忙しい人達でした。
だから旅行と言えば学校の修学旅行だけです。
家族旅行兼社員旅行と自分で言った時、実は胸がちくりと痛みました。
でもぐっと堪えました。
私はまだただの同僚で家族ではありません。
書いててまた悲しくなってきました。
いつか家族旅行と言える関係になりたいものです。
見つけた旅館は白銀旅館というところでした。
オーナーの写真にはとても美しい夫婦が映っていました。それと二匹の猫ちゃんが幸せそうに寄り添っています。
それだけでも素敵なのに恋愛成就の噂や口コミもありました。リピート率も大変高くて評価も物凄い数値でした。
実は猫一匹につき割引が大きくなるのでかなり格安で泊まることができました。
これで猫ちゃんたちとも楽しむことができます。
私は猫ちゃん含め、宗司さんにもリフレッシュを兼ねて楽しんで欲しいと思っています。
旅行を一週間後に控えたある日、茜さんと達也さんが遊びに来ました。
茜さんは私と宗司さんが旅行に行くと知って大変驚いていました。
私が猫と一緒に泊まれる旅館の話をするとあぁあそこねと知っている風でした。
詳しく聞くと茜さんのお友達もカップルで泊まりに行って今は仲良し夫婦となっているとのことでした。
「よくわかんないけどご利益はありそうじゃない?2人が付き合い始めたら私も達也を引きずっていこうかしら。私も宗司から猫を2匹譲り受けているからあんまり旅行とかいけないのよ。ここなら気兼ねなく楽しめそうよね。」
との事。達也さんは愛されてるなぁと思うと同時に茜さんも猫好きなんだと親近感が湧きました。やっぱり類は友を呼ぶのかも知れません。
書斎に行くと達也さんが寝ていて宗司さんは何かを読んでいました。
何を読んでいるかは分かりませんが椅子に座り、足を組み、片手で本を待ってる姿が絵画の一枚みたいでドキッとしました。
宗司さんは見た目の良さからか何をしていても様になります。
ゲームならスチルの一枚になっていてもおかしくありません。
宗司さんは私たちに気づいてサッと本を戻してしまいました。
何を読んでいるのか知りたかったのですが入り口からではタイトルも見えません。
書斎から出てからも聞いてみましたがはぐらかされてしまいました。悲しいです。
その後3人はとても仲良さそうなやりとりを始めました。ちょっとした疎外感にちくっと心が痛みました。私は彼らと積み上げた時間が無いので仕方ない事です。
その後、達也さんが宗司さんのPC内にその…大人の本があると教えてくれました。
私も成人した立派な女です。
もしかしたら宗司さんとそういうことをする可能性だって0ではありません。
これは聞き出さなければなりません。
宗司さんの趣味を知っておけばその時に使えるはずと積極的にいきましたが結局教えてもらえませんでした。残念です。
でも少し安心しました。
宗司さんにもちゃんとそういう欲があるってことがわかりましたから。
バーベキューはとても楽しかったです。
私はこうやって友達とバーベキューをしたことがなかったからです。
茜さんとのお風呂も楽しかったです。
みんなに会えて本当によかったです。
まさかあんなどん底からこんな楽しい日々があるなんて私は思いませんでした。
それと同時に2人のお墓参りに行きたいと思いました。いつか宗司さんをちゃんと紹介できる仲になりたいと思います。
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