メイド日記③
今日は一日中猫と過ごしました。
今も枕の上でましろが寝ています。
とても可愛いです。
ですが一つだけきゅっと心を締め付けられる事がありました。トラ…その名前で思い出すのは過去の過ちでした。
私が中学校の時に出会ったトラ柄の子猫。
私はその子にトラと名付けました。
神社に毎日通い、給食のパンなどを毎日少しずつ隠して持ち帰りました。
一年がたったある日。
トラは突然いなくなりました。
私は毎日探しました。
半年ほど探した結果、おそらくトラはこの街にいないことを察してしまいました。
私は泣きました。泣いて泣いて後悔しました。
もしかしたらもう何処かで…。そう思うと心が張り裂けそうでした。
もしあの時、私が両親を説得できる言葉を持っていればトラは暖かい家で過ごせていたかもしれません。そう考えると胸が苦しくなって張り裂けそうでした。
ですが、今日初めて2階の部屋に招かれた時に擦り寄ってきたトラはもしかしたらあの時のトラなのではないかと思ってしまいます。
都合のいい解釈をしてしまう自分に嫌気もさしますが、あの子が一番に最初に近づいてきてくれた時に私は運命を感じてしまいました。
もしあの時のトラならもしかしたら私の事を覚えてくれていたのかも…なんて。
これは流石に都合のいい妄想ですね。
トラはお爺ちゃんとの事なのでこれから毎日様子を見たいと思います。
妄想でも…もし本当にあの子ならごめんねとありがとうの気持ちを込めて撫でてあげたい。
そして今度こそちゃんとお別れしたいです。
茜さんに今日のことはお話ししました。
「へぇ…。あの部屋ついに開けたんだ。あそこは私達でも入ったことがないのに。時間はかかったけど、美憂があの頑固者の時間動かしたんだね。本当に凄いよ。」
と言ってくれました。
こんな何も持っていない私が少しでも宗司さんの力に慣れていることが嬉しいです。
これからも猫を一緒に育ててほしいという意味合いの言葉も頂けました。アレはプロポーズみたいでどきりとしましたが、あの言葉で猫を育てたいと思えました。
まだ後悔は消えませんが少しずつ立ち直れるように宗司さんの横で命と向き合いたいと思います。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます