メイド日記②

今日は初めてのデートでした。

朝から驚きの連続でしたが大変楽しい時間でした。

まず宗司さんがイケメンすぎて見惚れてしまいました。その後ペアウォッチを頂きました。

宗司さん的には特に深い意味が無いようでしたが、恋人をイメージしているものを貰えた事で私はガンガン攻めようと思いました。

まず大きな一歩として宗司さんと手をつなげました。きっと宗司さんは迷子にならないようにと差し出してくれたのですが、好きな人と手をつなげて喜ばない女性はいません。

その直後自転車に轢かれそうになったのですが宗司さんが抱きしめて守ってくれました。

逞しい体に宗司さんの香り。

一瞬意識が飛びかけましたが、なんとか耐えました。危なかったです。

調理器具を買いに行った時はまずこの方の考えを正せねばと思いました。 

この人はおそらくとりあえず高いものを買ってしまうタイプです。

安くても良いものはあるのでそこから理解してもらうようにしました。

お金を出すところは出して、出さなくていいものは安く済ませるというのはお金がどれだけあっても大切な事です。

「せっかく2人で買い物に来てるんだし今後は相談相手ぐらいにはなれるようにする」と言ってもらえたのが嬉しすぎて少し泣きそうになったのは秘密です。

一度家に帰ってご飯を食べている間、宗司さんは何か考えているような感じでした。

少し心配しましたが、私と目が合うと微笑んで美味しいよと言ってくれたのはキュンキュンしました。

車は2台とも高級車でした。

軽く聴くとキャンプが好きとのことでした。

私も一緒に行きたいと伝えると嬉しそうに頷いていただけました。その子供のような笑顔にもキュンキュンしました。

車から降りる前に達也さんから色々聞いたと言われたました。大した荷物も持たずに家を出たのは自分の責任なので諦めていました。

おそらくお昼を食べている間にこの事をどう伝えるか真剣に考えてくれたんだと思います。

申し訳ないという気持ちも大きかったですが本当に嬉しかったです。

下着は一先ず無難なものを買いました。

将来的には下着も選んでいただきたいです。

流石に下着の好みを聞く勇気はまだありませんでした。

宗司さんは派手な格好より落ち着いた服装が好きなようで安心しました。

ミニスカートはあまり得意ではないのでロングスカートを着れるのは助かります。

キャンプのことも加味してジーパンも2着購入させていただきました。

パジャマは少し攻めました。

夏物ははっきり体のラインが出ますし、足を見せて誘惑もできるかもしれません。外では恥ずかしくて無理ですが、家でならギリギリ足を出せます。

その後、「有難迷惑かもしれないが頼む。これは君ではなくて俺のわがままだ。」と言ってくれました。私は思わず好きだなと呟いてしまいました。

聞こえてなくてよかったです。告白するには彼にも恋という感情を認識してもらわなければいけません。

キャンプ用の靴を買いに行った時はびっくりしました。キャンプ用の靴があんなに高いとは思いませんでした。

ですが耐水性、耐湿性、怪我をしないための防御性を加味するとあの値段はおかしくないのかもしれません。

給料から天引きして欲しいと言った際に、宗司さんは自分のためだからと言ってくれました。

宗司さんは私が喜ぶことしか言いません。

その後とりあえず靴を3足選びました。

黒、ベージュ、白。この3足があれば暫くは問題ありません。特に一番使うシューズを黒にしました。お世辞かもしれませんが宗司さんも褒めてくれたので選択ミスはしてないかと思います。

鞄を買ってくれると連れて言ってくれた場所には宗司さんが女友達と言い切った茜さんがいました。

3次元に全く興味がない宗司さんのリアル女友達。とても美人で仲が良さそうで…私は少し泣きそうでした。

そんな私の手を引いて茜さんが奥まで連れて行きました。何を言われるかビクビクしていると茜さんは「私が狙ってるのは達也だから。」と仰りました。

目をぱちくりすると共に安堵しました。

茜さんは私に一つアドバイスをくれました。

「財布はお揃いをおねだりしなさい。もしアイツが拒否らなかったらたぶん脈ありよ。長い付き合いでわかるけどアイツが本気で拘ってるブランド物は財布よ。アイツの唯一の元カノはそれをおねだりした日に振られた。たぶん持ってほしくなかったんだと思う。逆に断らなかったらそれは少しでも好意があるということよ。多分ね。財布は早々変えられるものじゃない。なら頼めるのは今日だけよ。」

その言葉で胸がちくりと痛みました。

もし拒否られたら…。

「大丈夫。貴方はアイツと相性良いと思う。一歩踏み出しても良いんじゃないかな。ダメだったら私に連絡して。アイツを一発ぶん殴ってやるからさ。」

そう言って連絡先を交換してくれました。

私も覚悟を決めました。

お店から出た後、私は勇気を出しておねだりをしてみました。

声は震えていたし、少し泣きそうでした。

「勿論だ。上に店があるから行こう。」

その一言がどれだけ嬉しかったかは宗司さんにはわからないと思います。

心の中でガッツポーズをして、茜さんに感謝をしました。

黒い財布は初めて持ちましたがお揃いというだけで幸せな気持ちになりました。

おやすみなさいと挨拶するまで私の心はずっとふわふわしていました。

日記を書く前に茜さんに電話をしました。

「やっぱりね。アイツ多分無意識にあなたの事好きなのよ。でも早まっちゃダメよ?ゆっくり時間をかけて恋心を自覚させなさい。2人でいろんなことをやったりしてね。アイツは本当の意味で誰かを好きになったことがない。私たちと違って心が痛むほど誰かの事を考えたりもしたことが無いのよ。だから焦っちゃダメよ?」

とアドバイスをくれました。

私は改めて茜さんにお礼を言いました。

今度は4人で遊びに行こうと言ってもらえて嬉しかったです。

いつか宗司さんに自分の今の状況と、気持ちを伝えたいと思いました。

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