メイド日記①

仕事の初日。それは誰でも緊張するものです。

例に漏れずに私も緊張しました。

宗司さんに一目惚れしてしまった私は失敗する事を恐れています。

一回の失敗でここから追い出される可能性だってあるはずです。

宗司さんは朝ごはんを食べないらしく、昼からでいいよとプロテインだけ持ってトレーニング室に行ってしまいました。

午前中、まず私が行ったのは洗濯です。

色移りするものがあるかをまず選別。

特に問題がない事が分かったのでネットに入れる物があるかの確認を行いました。

最初は黙々と行っていましたが、一枚のシャツに目が止まりました。寝る時に着ていたシャツです。まだ汗で少し湿っています。

私は一応、周りを確認しました。誰もいませんでした。

シャツを手に取り、我慢できなかった私は匂いを嗅いでしまいました。とてもいい匂いで少し頭がクラクラしました。同時に体が熱くなり、自慰行為に及ぶ寸前で正気を取り戻しました。

自分が匂いフェチであることを初めて知りました。このままではダメになると気づいた私は、シャツを洗濯機に入れました。

この時は危なかったです。変態さんになるとこでした。気をつけなければなりません。見つかったら幻滅されてしまいます。

そう言えば遺伝子的に相性のいい相手の匂いは、凄くいい匂いと聞いたことがあります。つまり私達は遺伝子的に相性がいいということかもしれません。

そうだったら嬉しいです。


お昼の時間になり、冷蔵庫を確認した私は少しびっくりしました。9割がビールでした。

買い物は明日する約束でしたので、私は達也さんに頼んで色々持ってきてもらいました。

達也さんは頑張れよと親指を立てて帰っていきました。仮にお兄ちゃんがいたとしたらこんな感じなのかなと思いました。

手の込んだものより食べ慣れたものにしようと考えた私はお昼はオムライスにしてみました。

少し緊張しながらトレーニング室の扉を叩いた私はしばらく反応が無いことが心配になり開けてしまいました。

宗司さんはなんとパンツのみという格好でした。私は噛み噛みになりながら謝罪して扉を閉めました。

あの時は本当に驚きました。

逞しい肉体にドキッとする気持ちと、失敗した事で追い出されるかもしれない恐怖で、心が壊れてしまいそうでした。

ですが宗司さんは逆に私に謝ってくれました。

とりあえず追い出されることは無さそうで、私は安堵しました。

お昼ご飯は大変喜んで頂けました。

話の流れで宗司さんが二次元が好きで三次元が嫌いという話を聞きました。

私にチャンスが無さそうで一瞬落ち込みましたが、私は覚悟を決めました。

日用品以外は無駄遣いせずいただいたお金は返そうと思いました。

便宜上、彼の隣にいるためには今は給料を頂くしかありません。これではお金目的と思われても仕方ありません。

私の武器は家事のみです。であれば胃袋を掴み惚れさせるしかありません。

そう気合を入れたのですが宗司さんは急ぎの仕事が入ったとパソコンと向き合ってしまいました。

見ていて気付いたことは、彼はこうやってご飯を抜いてしまっているという事でした。

ならば今必要なのは箸を使う料理ではなく、手に取って食べれるものだと考えました。

予想は当たりそっと置いておいたサンドイッチは全てなくなっていました。

これなら野菜も取れるし栄養は問題ないかと思います。

私はちょこちょこ様子を見てコーヒーを入れ直したらしてみました。

仕事には栄養を使うと思い、少しずつですが軽食を差し入れてみるとそれも食べてくれました。

宗司さんは仕事が終わったのかリビングに待機していた私のところに来て私に声をかけてくれました。

君のおかげで最高の仕事が出来たと言われた私はキュンとすると共に嬉しさで泣きそうになりました。

明日はお買い物。

私にとっては初めてのデートです。

服はあまりありませんが精一杯のオシャレをしたいと思います。

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