第65話
「……それでは、人気投票結果発表を再開いたしましょう」
「おおぉ。いよいよ、みなさんお待ちかねの愛称が頂ける順位の発表ですね」
「はいっ! シュステーマ・ソーラーレのみなさんも、ステージ上に揃いました」
女性MCの再開発言と同時に、俺たちも舞台袖から出てステージ後方に並ぶ。
まだ、名前を呼ばれていない二十一人が中央に位置し、新人の七期生を除く他のメンバーは半分に分かれて両横に付いた。
二十二位までの発表とは違って、内部グループのシュステーマ・ソーラーレやドワーフ・プラネットメンバーの衣装が違うため、華やかさが増している。
その集団の中で、俺やのぞみちゃんは大人しく端の後ろの方に位置していた。
「では、発表いたしますっ! ……第五回シュステーマ・ソーラーレ例大祭、人気投票第二十一位は!?」
「第二十一位は!?」
「……三期生、エウロパこと、──」
+++
順調にセブンス・サテライトに該当する、十五位まで結果発表が終わった。
その中に俺の名前は当然として、のぞみちゃんの名前も呼ばれていない。
これで、彼女はドワーフ・プラネット以上だと確定したわけだ。
おかげで、ドワーフ・プラネット所属だった二人の二期生がセブンス・サテライト落ちになって愛称が変更となる。
結果、セブンス・サテライトの七人は、二期生が三人に一期生、三期生、四期生、五期生が各一人ずつの構成となった。
「これで、今年のセブンス・サテライトメンバーが決まりましたっ!」
「そうですね。残りは十四人となりますか」
「はいっ! それでは少しだけですが時間が押してますので、十四位の発表と行きましょう」
「さあ、次はドワーフ・プラネットの五人ですっ!」
「……第五回シュステーマ・ソーラーレ例大祭、人気投票第十四位は!?」
「第十四位は!?」
「……一期生、プルートこと、──」
+++
なかなか、のぞみちゃんの名前が呼ばれない。
これはもしかして新人二人が内Gのシュステーマ・ソーラーレ入りか、という空気が漂い出したころだった。
「……第五回シュステーマ・ソーラーレ例大祭、人気投票第十一位は!?」
「第十一位は!?」
「六期生、七澤 のぞみさんです!!」
「「「おおっー!!!」」」
「「うわぁぁぁ!!」」
「のぞみ~ん! おめでとう!!」
遂に彼女の名前が出てしまった。
これで、一年間はのぞみちゃんと違うグループでの活動となる。
彼女もそれを思ったのだろう、複雑な笑顔で俺と視線を交わしてから、ステージ前方のスポットライトの中へ歩き始めた。
「……おめでとうございます。七澤 のぞみさん」
「初めての人気投票で十一位、ドワーフ・プラネット入りですよ!?」
「ありがとうございます。まさか、想像もしていませんでした」
MC二人との会話を、にこやかに礼儀正しくこなしている。
それを見つつ、俺の基本衣装とは違う衣装を纏った数人がソワソワした雰囲気を醸し出していた。
名前を呼ばれていないのは十人だけ。
去年の上位九人と俺が残っている状態である。
となると、俺の上位入りは確実視されているので、一人はドワーフ・プラネット落ちが発生してしまうのだ。
当然、その一人は去年における一桁下位のメンバーの可能性が高い。
「──それでは、最後に一言お願いします」
「はい。応援してくださった皆様、ありがとうございました。この結果に応えるよう、努力していきますので、今後も応援をよろしくお願いいたします」
「応援するぅぅぅ!!」
「のぞみお嬢さま~~!!」
「おおっ、凄い声援ですな」
「そうですね。……六期生、七澤 のぞみさんでした。ありがとうございました」
「ありがとうござました」
優雅にお辞儀をすると今までのメンバーと同じようにして、俺の横に戻ってくる。
「おつかれさま」
「後は美久里ちゃんの順位ですね」
口には出さずにニッコリと笑顔を浮かべて返事に代えると、視線を前に戻す。
十位の結果が発表されようとしているのだ。
「……さて、次は十位の発表です」
「ドワーフ・プラネット所属となる、最後の一人ですな」
「そうなりますね。……それでは、第五回シュステーマ・ソーラーレ例大祭、人気投票第十位は!?」
「第十位は!?」
「……二期生、ウーラヌスこと、河上 もゆさんです!!」
「「うわぁぁぁ!!」」
「またか~~!!」
『
二期生におけるロリ系妹枠で、今年十九歳となる可愛らしいなかなかの美少女である。
彼女の不幸は、一期生に上位互換ともいえるロリ系妹枠が存在していることだ。
人気投票で毎回上を行く、その一期生に人気を取られて、なかなか一桁上位には行けない。
一回目の人気投票で八位に入ってウーラヌスの愛称を貰い、二回目も維持できたが、三回目で十位に落ちて新設されたドワーフ・プラネットの愛称プルートとなった。
去年の第四回では八位に復活し、順位を十位以下に下げた旧ウーラヌスから愛称を再び引き継いだのだが、残念ながら今年は再度のドワーフ・プラネット落ちとなってしまった。
貼り付けたような笑顔でステージ前方に進む彼女と、ホッとしたような表情の去年九位のメンバーが対称的である。
この人気投票の結果で、栄光を掴めるかどうか、アイドルとして将来に影響する。
たった一つの順位でも必死になって上げようと努力し頑張ることが、アイドルグループとしての成功にも繋がるのだ。
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