10_キラキラッ! 夜空に輝く一等星! 君だけの星になりたーい

前 : 近 : ふざける

「はっ! というわけで、ヤーチューバーの如く、一瞬で時間を飛び越えました」


前 : 近 : ふざけて怒る

「飛び越えてないとか言うな。パソコンの配線で苦労してるうちに夜になったとか、そういうの秘密……!」


前 : 近 : 上機嫌に自慢

「デーン! これが私の配信ブースだー! ド田舎でご近所さんがいないから、夜中の配信も余裕のヨッ! 引っ越し後の初配信、行っちゃおうかな!」


前 : 近(鼻先が触れるくらい) : 囁く

「それじゃ。お兄ちゃんは、今から一言も喋ったら駄目だからね」


 僕が頷くと、響は満足したように頷き返し、配信ブースの椅子に座った。

 何度聞いても驚くくらい、響の声は別人のようにトーンがガラッと変わる。


前 : 遠 : 元気全開。オフより声を張っているため、高い

「キラキラッ! 夜空に輝く一等星! 君だけの星になりたーい。ロボライブ五期生スターズの星空ほしぞらヒカリでーす。こんキラー。みんな、見えキラ、聞こキラ~? 今日はね、前回の配信で言ったように引っ越したキラーー。だから、ちゃんと配信できてるか、めっちょくちゃ不安! めっちょよ、めっちょ、へるめっちょ。『聞こえてるー』よかったー『今日も可愛いー』知ってるー。ありがとー。きらるんっ♪」


前 : 遠→近

「ん? ちょっと聞こえにくい感じ了解。ちょい待ち。マイク調整。ピピピのピ」


 僕は、響の配信がトラブったらすぐに気づけるよう、耳にイヤホンを付けて配信を聞くことにした。響は少し離れた位置にいるけど、まるで目の前にいるかのように聞こえてくる。


右 : 近

「どうー?」


左 : 近

「配信の音声、どう? 聞こえ方、いい感じー?」


前 : 近

「『いいよー』って。じゃ、これで。『蕎麦配ったー?』ん~? 蕎麦? 『蕎麦代』スパチャ、ありがとう。え? なんで蕎麦? 近所に配るの? タオルじゃないの? はー。知らんかった。蕎麦を配るんだ」


前 : 近 : わざとらしく過剰に驚く

「そばに住むから蕎麦って……コト?!」


前 : 近

「そうなんだ。んー? 晩ご飯、食べたよー。ウーパーした。というか、蕎麦の気分になってきたから、配信が終わったらコンビニでごん兵衛でも買ってこよっかな」


右 : 近(耳元で囁く)

「ごん兵衛は蕎麦派だよ……」


前 : 近:ノリノリで媚びを売る

「もちろん、うどんも好きキラ。青いタヌキも好きぃー。ポコラ先輩がコラボしてたから、ここはヨイショしておかないとね。あぞとい? てへっ! うどんやお蕎麦は、キノコタケノコと違って戦争にならないからいいよねー。『は? 戦争だが?』って、あ、こっちも戦争になるんだ。お兄ちゃんにコンビニガンダしてもらおっかな。んー? いるよ、すぐそこに」


前 : 近(鼻先が触れあう距離) : 意味ありげ

「……二人っきり。ふふ……」


左 : 近(耳を舐める距離) : 囁く

「みんな、嫉妬しちゃう?」


前 : 近

「なーんちゃって。んー。えっとね。荷物運びして腰を痛めて転がってる。ASMR用マイクを業者さんに任せたら、大丈夫だと思うけど万が一の身バレがちょっと不安でしょ? 『あ。もしかして配信されてる方ですか? あれ。貴方の声、どこかで聞いた気が……』って感じでバレちゃうかもだし。だから、お兄ちゃんが運んでくれたの。『優しくしたげて』かー。ぷっ……。『兄上! おい、タワシ屋!』とか意味不でなんかウケる。ねー。というか君達、なんか私のことよりお兄ちゃんのことばかり気にしてないー? 私も引っ越しガンガったんだよ。なんで私、兄に嫉妬しないといけないの? ん? 『おい、タワシ屋!』じゃなくて『お労わしや』? お労しやってなんぞや。『おい、タワシ屋! タワシ一個くれいっ!』ってことじゃないの? タワシ屋ってタワシだけ売ってて商売になるの? 何種類くらい売ってるの? というか、タワシの話題広げる意味なくなくない? あははっ」


前 : 近 : 笑い転げる

「あはははっ! うふふっ! ちょっ、待って……あははっ。こんなの、壺に入った……。あははっ。ふっ、ふっ、ふーっ……。ふーっ」


前 : 近

「おけ。落ちついた。以後、私、タワシの話題禁止したわ」


前 : 近 : 笑い転げる

「ぷふーっ! あはははっ! 私ッ、タワシの、話題禁止……シタワッ! あはははっ! ごめっ。ごめんっ……。ふっ、ふっ、ふーっ……。ふーっ……」


前 : 近 : ちょっと笑いつかれて息切れてる

「あー。やば。今日ちょっとテンションおかしいかも」

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