11_シコって……。あっ……。そういう……

前 : 近 : 上機嫌

「『広い部屋なら3Dしたら?』あ、君、天才。ちょい待ち。3D配信用のモモピ用意する。……えっと、これを、ここに付けて。ソフトはこれだっけ。『首と腕がぐねってる』? いいの。今、魂の脱皮中だから。脱皮言わすな。『だっで……! ヒガリ! 腕が!!』 ドンッ!! じゃないんよ。イぎだい!」


前 : 近 : 元気さ割り増し

「よし。じゃあ、いったん消えて、3Dになるよ……。デデーン! 3D星空ヒカリぃ~。キラッ! キララッ! ね、どう、可愛い? キラキラッ! 可愛いでしょ? 『お尻見せて』うわっ、さっそくぶっこんできたぞ、変態リスナー。『脇見せて』『へそ見せて』『脚見せて』くあ~~っ。君達、マジでどうなってんの……。3Dだよ。ほら、踊れるよ!」


左右に揺れる : 近 : 最初だけ元気もりもり、すぐにバテる

「ラン、ラン、ララ♪ へい、ダンス! ダンス! どう! レッスンで、はあはあ、鍛えた……はあはあ、体の……キレ……はあはあ。……はあはあ。……しんど」


前 : 近 : 疲労状態

「あ、いや、これは引っ越しの疲れがチックセッキして……。はあはあ……。ふー」


前 : 近

「あ。『お兄ちゃんを踏んでみて』だって。いいね。採用。本当はお兄ちゃんを踏むのなんて嫌だけど、コメントで言われたから仕方ない」


 効果音 : キシキシ(響が近づいてくる足音)


前 : 近と近(二重に聞こえる)

「お兄ちゃーん。今3D配信しているんだけど、ちょっと踏ませて」


 響が接近してきたので、僕は拒否した。


前 : 近

「聞こえた? みんな聞こえた? お兄ちゃんが『ふざけんな』って言った! 酷いよね?! 『酷い』『最低』『兄の風上にもおけん』と怒りのコメントであふれちゃった。ほら、お兄ちゃん。いさぎよく踏まれて」


前 : 近 : ちょいオコの演技

「なんで嫌なの? 重くないって!」


前 : 近 : 意外そうに

「え? 疲れているんだよね? 腰を踏んでマッサージしてあげるんだよ?」


前 : 近 : 不思議がる

「別の意味と勘違いした? 別の意味って何? シコを踏む? どっせーい! みたいな?」


前 : 近 : 気づいてしまい、ちょっと気まずい

「あっ……。シコって……。あっ……。そういう……。星詠みのみんな、ごめんね、お兄ちゃんが、そういう、シコ、なんだって……」


前 : 近 : 明るく茶化す

「うぅーわ、キッショ。『僕もヒカリに踏まれてシコりたい』とか、君、これ、完全にライン越えだよ。他の配信者にコメントしたら駄目だからね? 私だから許してあげるけどさ。あっ! 違うよ! ヒカシコ許可じゃないからね! キモコメを許したってことだからね!」


前 : 近

「で、なんの話だっけ。あ。そう。荷物運びで疲れたお兄ちゃんを踏んでマッサージするんだった」


 効果音 : ガタガタ(響がASMR収録用マイクを僕に渡す)


背後 : 近

「ほら。お兄ちゃんにASMRマイク持たせたから、リスナーのみんなも、自分がマッサージされてると思って、うつ伏せでリラックスして聞いてね。……準備はいい? それじゃ、癒やしのリラクゼーションタイム、行くよ~」

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