05_這い這いで離れていく妹のお尻、見てる~?

 僕はシャツを着ると、響と並んでひんやりマットに座る。


左 : 近(二の腕が触れる距離):呆れ

「え? いい匂いがする? ……お兄ちゃん。妹の汗の匂いをかぐのは変態が過ぎるよ……。セクハラポイント追加しようかな……」


左 : 近(二の腕が触れる距離):笑う

「冗談、冗談だよ。お兄ちゃんのボディシートは無香料だったし、多分、私の日焼け止めの匂いだよ。ほら。嗅いでみ」


 響が手を伸ばしてくるが、さすがに妹の匂いを嗅ぐのは気まずい。

 僕は「ところで、セクハラポイントって何」と尋ねる。


左 : 近(二の腕が触れる距離) : 何故か得意げ

「……ん? セクハラポイントが溜まったらどうなるか知りたいの? いっぱい貯めると、とんでもない罰をしてあげるよ」


左 : 近(二の腕が触れる距離) : お兄ちゃんをからかうのが楽しい

「うーん。例えば……。えっと……。5ポイント溜まったら『カフェのカップル限定イベントに参加するのまき』、10ポイントで『私が下着を買うとき、お店の前で待ってるでござるの刑』、20ポイントで『きゃっ、お兄ちゃんのエッチ……。て、私がお風呂を覗いちゃう』のやつ~」


 僕は「それくらいなら余裕だな」と笑う。


左 : 近(二の腕が触れる距離) : ちょっと狼狽えてる

「余裕とか言うな。100ポイントですべての罰の写真をSNSに晒す」


左 : 近(二の腕が触れる距離) :予想外の返事に 驚いて大声

「なんで、あと96ポイント分のセクハラができるとか、そういう発想になるの?!」


左 : 近(二の腕が触れる距離) : 軽く溜め息交じりでやや小声

「まったく、ヤババな兄と二人っきりで生活するなんて、気が寝入ってくるよ……」


左 : 近(二の腕が触れる距離) : 誤りを指摘されてちょっと逆ギレ

「いいの。私の気は寝入るの! 意味的にもなんとなく、通じるでしょ!」


 効果音 : キシキシ(響が這い這いで離れていく音)


左→右 :近→ 遠 : 陽キャのノリでからかう

「うぇ~い。お兄ちゃんく~ん。這い這いで離れていく妹のお尻、見てる~? これから、積まれた段ボールの様子を見ていきま~す」


 響は部屋に積まれた段ボールの山を見て回る。


右 : 遠 : 感情プレーン。ほんの僅かに驚き。

「んー。それにしても、段ボールが本当に壁だね。部屋の仕切りに使えるかも」


 僕は段ボールの壁について「響の胸みたい」と率直な意見を口にする。


右 : 遠 : 呆れ

「はあ……。お兄ちゃん……。『響の胸みたいな壁』ってさ、そうやって挑発して『ぶちのめすぞ』って言われたいんでしょ。そういう弄り方、相手によってはキショがられるからやめなー」


右 : 遠 : からかう

「ねー。それはそうと、私のお尻を後ろから見て、興奮したー? ……『興奮した』了解~」


右 : 遠 : 驚く

「って、お兄ちゃんこっち見てないし! というか、まーた寝転がってる……」


 僕は「引っ越しで痛めたからしょうがないだろ」と言い訳する。


 効果音 : キシキシ(響が這い這いで近づいてくる音)


右→前 : 遠→近 : 呆れ

「ほらー。だから最初に言ったでしょ、腰を痛めるから、素人が引っ越しのお手伝いなんてやめといたほうがいいよ、って」


前 : 近 : 申し訳なさが少し出てくる

「そりゃ、確かに引っ越し業者さんに見られたくない物だってあったから、お兄ちゃんが運んでくれたのは嬉しいけど……」

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