第4話 いざ、Dクラスへ
校長先生とスーツ姿の男に案内されるがまま、俺は再び外を歩いていた。
だが、なぜか知らんが案内されている方向は校舎の真逆、寮のような建物ある方向だ。
見た目からして分かる。
7階建ての縦に長い建物………明らかに校舎だ。
そして目の前にある2つの建物、正面から見ると窓1つ1つに小さな屋根があったり、花が植えられていたりする。
明らかに校舎じゃない。
まぁ、765人もの生徒が寝泊まりする寮だからな。
こっちもこっちでクソデケェけど………。
「あの、この2つの同じ建物が、いわゆる寮ってやつですか?」
俺は前を歩く校長先生にそう訪ねる。
「えぇ。最大500部屋ある生徒専用の寮です。右側が女子生徒用で、左側が男子生徒用です」
ほぇぇぇ、500部屋もあんのか。
男女合わせると1000部屋って………各部屋にベッドや机とか、色々な揃ってんだろうなぁ。
俺が学生時代の時はあり得ない話だな。そもそも学校の敷地内で寝泊まりとかそう言う文化ねぇし。
寮の前を左に曲がり、綺麗に整備された道を進む。
その道の先に、俺はある道を見つける。
それは、山のさらに奥高く続く階段だ。
校長先生もスーツ姿の男も真っ直ぐ進んでいる。
間違いねぇ、あの山の奥へ続く階段へと向かってやがる。
どう言う事だ?
だって校舎はクソ広い運動場を挟んで左側に2つもあんのに、どうして俺は山の奥へ案内されようとしているんだ?
「あの、もう1ついいですか? 校舎はあれですよね? このまま進むと、山の中に入りそうなんですが」
「えぇ、山の中に入りますよ。この階段の先にDクラスの教室と生徒達が居ますから」
「……………」
こんな山の奥に俺が担当するDクラスの教室があって、生徒達が居るだと?
いや、校舎があるのになんで山の奥なんかに別の教室とそこに生徒が居るんだ。
Dクラスの生徒達は7人と数少ないし、何かが変な感じがするな。
「なぜDクラスの生徒は山奥に居るんです?」
俺はただでさえ低く渋い声を、さらに1つトーンを落として問いかける。
「ホッホッホッ。実は、Dクラスの生徒達は他の生徒達とのコミュニケーションを取るのが苦手な子達でしてねぇ。授業や剣術の練習に集中出来ないと相談されたので、仕方なくこの山奥で新しい校舎と寮を建てたんですよ」
校長先生は髭を弄りながらそう説明してくれた。
ふむ、確かに新しい校舎と寮を建てるのであれば、空きスペースがなさそうだ。
唯一空いてるとすれば、男子専用寮の隣。
テーブルや椅子、そして謎の赤と青の装置が設置されているが、新しい寮の1つは建てられるくらいのスペースがある。
だが、校舎も建てるとなればスペースが圧倒的に足りんわな。
どうやら、思い込みが過ぎたようだな。
こっちにはこっちなりの理由があるって訳だ。
「なるほど。理解しました」
「ホッホッホッ。それは良かった。ではグリサ君、ここからは君がギャドルグさんを案内したまえ。すみませんね、私は見ての通り年ですから、もう登れないのです」
「いえ、ご案内ありがとうございます」
「ホッホッホッ。では、後は頼んだよ」
校長先生は俺とスーツ姿の男に背中を向けると、来た道を戻り始めた。
「そう言えば、まだ自己紹介がまだでしたね。私はグリサ・レモールと申します。以後お見知りおきを。では、参りましょう」
スーツ姿の男はグリサと名乗り、山奥へ続く階段を登り始めた。
下から階段の先を見上げてみれば、とんでもなく長い。どんだけ高い所に建ててんだよ。
まぁ、理由もある訳だし文句は言えねぇ。
今は黙ってグリサさんの後ろをついて行くしかない。
体力持つかこれ?
今の俺は死ぬ前の若い頃じゃない。
年を取ったおっさんだ。体格は結構良い方ではあったが、果たしてどうだろうか。
グリサさんの後ろを進む俺は、長い階段を登り続ける。
☆☆☆
やがて1分ほど登り続け、ようやく全ての階段を登り終えた。
すごく開けた場所に、見違えるほど小さな木造の校舎が1つと、寮が1つ。
あとは、倉庫のような建物もあるな。
あのバカみたいに広い運動場やバカみたいにデカい校舎を見た後だと、だいぶ見劣りするが………。
そして、何より先に視界へ入ってきたのは、校舎の前の開けた場所で木刀を振って練習をする7人の女子生徒だ。
中には2人、校舎前の段差に座って休憩している子も居る。
「おや、ちょうどDクラスの生徒達が自習練習中のようですね」
すると、グリサさんがパンパンと2回手を叩く。
「………?」
その音に7人の女子生徒達が視線を一か所に集めらる。
「はい、集合。君達の新しい担任の先生を紹介しますよ~っ」
「………新しい、担任」
グリサさんの発言にいち早く反応したのは、銀髪の美少女。
だが、その美少女の表情はあまりいいもんじゃない。
やがて、グリサさんの前に7人の美少女達が集まった。
おいおい、名簿で顔写真を一通り見たが、こうして実物を見ると可愛いらしい子ばっかじゃねぇか。
この子達が俺の生徒達になって、剣術学校だから剣術を教える事が出来る。
い、いいじゃん………!
人に剣術とか教えた事ないけど、なんかワクワクしてきたな。
教師か、楽しそうじゃん。
そうこう思っていると、グリサさんが生徒達に話をし始める。
「では、紹介します。こちらが、今日から君達の担任になる、ギャドルグ先生です」
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