第8話 勇者の股間の聖剣
何かのスイッチが入ったマルクは、シャーロットをベッドに押し倒した。どうやら麻痺の効果が切れ、手足の自由が戻ったようだ。
「ふふ、いいぞ。強引に襲われるのも悪く……うむっ!?」
マルクは問答無用でシャーロットの唇を奪う。急に様子が変わったマルクに少し驚いたものの、シャーロットは抵抗しない。
むしろキスをしながら、「んむぅ……」と甘い声を漏らし始める。
粘液をまとったナニカを絡ませ、唾液を交換し合う間に、マルクはシャーロットの身体を抱き寄せた。
シャーロットはビクンと体を震わせて、「ぁっ……!」と小さな喘ぎを漏らす。女に触れるのさえ躊躇していた人物とは思えないほどに積極的だ。
マルクの男らしさに顔を赤らめながら、シャーロット自身も彼の身体に腕を回す。キスだけで興奮してしまったのか、足をもじもじさせ、太股を擦り合わせている。
「(お、おかしいぞ……どうして私がここまで発情させられているんだ……!!)」
本来ならば、サキュバスであるシャーロットには媚薬の効果は無い。だがどういうわけか、マルクと唾液を交換したあたりから身体の様子がおかしい。
彼女が動揺していると、マルクはその隙にシャーロットの首筋に噛み付いた。
その瞬間、シャーロットは「ひゃうんっ……♡」と可愛らしい悲鳴を上げる。彼女の反応に気を良くしたマルクはそのまま舌を使って、シャーロットのシミひとつ無い白い肌を蹂躙していく。
主や同族を護るために鍛えてきたその身体は今、目の前の男を悦ばせるために使われていた。だがシャーロットは抵抗できない。身をよじりながら、ただその快感に耐えるしかなかった。
「はわぁっ……!? ああんっ……!! ま、参った! それ以上はやめてくれぇえっ!!」
マルクの手が彼女の服の下に伸びようとしたところで、シャーロットは遂に音を上げた。これ以上はマルクに主導権を奪われ、完全に堕とされてしまう。
だがマルクはシャーロットの言葉を無視し、シャーロットの身体は否応なく高められていく。やがて身体をビクンと跳ねさせた後、ベッドの上でグッタリとしてしまった。
息も絶え絶えとなったシャーロットは、涙目でマルクを見上げる。
「も、もう許してくれ……。これ以上されたら壊れちゃうから……。お願いだ……」
そこでようやく、マルクの舌攻めが止まった。
しかしホッとしたのも束の間、なぜかマルクはベッドの上で立ち上がった。
「え? えっ??」
そして彼女は気付いてしまった。
マルクが今、凶悪な武器を所持しているということに。
いや、魔王戦でマルクが敗北した際に、彼の愛刀は没収してある。
では何を持っていたか。それはシャーロット自分たちサキュバスにはない、男性特有の身体の一部分だった。
(だがこれは、あまりにも……!!)
だが姿形があまりにも異常だった。
彼女が書物で知っていたモノよりも、マルクのそれは一回りも二回りも大きい。
それが自身を殺す最強の武器として、今まさに彼女の眼前に突き付けられていたのである。
「――ひっ!?」
反射的に突き飛ばされ、マルクはベッドの上に尻餅をつく。だが、恐れおののくシャーロットを見てニヤニヤと笑っていた。
「そこまでよ!!」
シャーロットがすべてを諦めそうになったその瞬間。突然、部屋のドアがバンと開かれた。
そしてそこに立っていたのは、眼鏡を掛けた小柄な少女だった。
マルクの妻であり、シャーロットの上司。
この世界最強の存在、魔王アイナだった。
「ア、アイナさま……?」
彼女は腕を組んで、仁王立ちでベッドの上のマリクたちを睨みつけている。
そしてアイナの後ろには、彼女に隠れるようにして、他のサキュバスたちが顔を覗かせていた。
「頑張って仕事を終わらせて、ようやくマルクとイチャイチャできると思ったら……。二人とも、これは一体どういうことなのかな?」
「あ、あれ……俺はどうしたんだ?」
アイナが指をパチンと鳴らすと、マルクが意識を取り戻した。どうやらアイナが魔法を使ったらしい。
だが半分意識を失っていたマルクは何が起きたのか分からず、キョロキョロと辺りを見渡す。
「え、えっと……これは……?」
目の前にいるのは、衣服を乱れさせて顔を上気させているシャーロットと、明らかに怒っている様子の妻。
徐々に直前の記憶がよみがえるにつれ、マルクの背中に冷や汗がダラダラと流れ始めた。
「え、えっと……違うんだ、アイナ。俺がシャーロットに襲い掛かっているように見えるかもしれないけどさ。俺はただ、シャーロットと話を……」
「ダーリンは黙ってて!!」
「ひゃい!!」
怒れる妻の一喝により、マルクは情けなくも身を縮ませた。
勢いに乗ったアイナはズカズカと歩きながらベッドに近づいてくると、そのまま勢いよく右手を振り上げ、思いっきり振り下ろした。
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次回は明日の19時過ぎに投稿予定です。
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