第36話 友達
フランの家に行くと、ジャレッドさんもいた。無言で美味しそうにお茶を飲んでいる。
フランに王国の未来を全て話した。『分裂』というワードを言った瞬間、フランの口角が少し上がった気がする。
「……らしいんだけどフランはどう思いますか?」
「王子らは多分太王太后に似たんだろうね。太王太后の家門の人間にそっくり。」
「太王太后?曾祖母様に似た?どういうこと?曾祖母様の家門ってどこ?」
「太王太后は悪女として有名でね。太王太后の家門はクラウス侯爵家の人間で、おれの元大叔母だよ。」
ジャレッドさんが静かにお茶を吹き出し、咳き込んだ。でも、正直あたしも驚いた。
私とフランは血が繋がっているってこと?でも全然似てない。フランはいつから血が繋がってるって分かってたんだろ。
ジャレッドさんの様子を見る限り、ジャレッドさんもこのことを知っていた気がする。
「いつから気づいていたのですか?」
「最初から!オルラちゃんの波長がおれと似ててすぐに分かった。記憶を取り戻して確信したって感じかな。」
フランもジャレッドさんと同じ色のお茶を淹れ、王国の作法で優雅に飲んだ。元々貴族だったことを疑う余地すらない。
2人ともツンデレだったりする?……悪くないかも。いいコンビだし。
「太王太后の話はさておき、オルラちゃんはどうしたいの?オルラちゃんの一言で大陸ごと壊せるけど。」
「あたしは……家族と仲良く過ごしたいです。もちろん、アムアのみんなとも友達になりたいし。」
「そっか!じゃあまずは2人からだね!」
そういうと、フランはあたしを持ち上げて、ジャレッドさんの隣に座らせた。
そしてあたしとジャレッドさんが何か言う前に、瞬間移動でどこかへ行ってしまった。
フラン抜きで話したことがないからか、しばらく沈黙が続き、全身から冷や汗が出た。気まづい空気が流れ、ジャレッドさんがなんだか怖かった。
「……えっと、オル……ラ」
「は、はい……?」
「えっと……その、昨日は、フランを助けてくれて、いや、アムアを救ってくれて、か、感謝する。」
「い、いえ、あたしはやるべきことをやったまでですから。」
本当に、何を話せばいいか分からない。気まづいし、なんて返せばいいのか……。なんて……返す……。
「ジャレッドさん、あたしのことを愛称でオリーと呼んでください!」
「あ、愛称?わ、分かった。お、オリー……。」
「あたし、チーズケーキが好きです!ジャレッドさんは何が好きですか?」
「イナゴ……。」
単なる会話で考える必要なんてなかった。あたしの思ったこと、『みんなと友達になりたい。』を実現するために、親しみを持って会話のキャッチボールをする。
-------❁ ❁ ❁-------
中の人はそう思っても人見知りすぎて出来ません。
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