第23話 あれ?

弟子とリリアを私の邸宅にある食料庫に隠した。食料庫は、唯一魔法による被害が出ないよう、厳重な防御魔法が施されている場所だった。


「アムアに問題が起きた。危険だから良いと言うまで出てくるな。魔法も使ってはいけない。分かったな?」


「はい!」


「はい。お気を付けて。」


遊び道具としてありったけの人形と本を置いていき、食料庫のドアを閉めた。


まるで小説で偶にある継母がヒロインを閉じ込めるようだな。いや、これは仕方がないことだ。


パッ!


私の邸宅から出ようとしたその時、常に全身から感じていた重みが、スっと消えた。


「これは……。この魔法は影が作った書類には書かれていないぞ。」


「というかこれぇ、研究が禁止されてませんでしたっけぇ?」


「ああ。」


これは間違いなく、魔力封印魔法だった。魔法が使えなくなるだけで、魔力が消えるわけではないから、魔力欠乏症になることはない。


だが、これは解除の方法も解明されておらず、魔法使いにとって天敵でしかないから、昔の大魔法師によって研究が全面禁止された。


面倒なことになった。しばらくは影に頼る暇が無くなるな。


「これはまずいな。魔力が少ししか使えない。」


「僕は全く使えませんー。」


ルアは手のひらから魔力を出そうとした。けれど、一向に魔力が光る気配がない。


少しでも使えている私がおかしいのか。こうなるならコーデリアを邸宅に匿わなくて正解だったかもな。


魔法に少しでも太刀打ち出来るのは、コーデリアだけだろうから。


「まずは少しでも魔法を使える者を探すぞ。ジャレッドの研究所へ行く。」


「はいぃ。」


74年共に過ごして、お互い信頼出来る関係となった。


……アムアを反逆者なんかに渡すものか。黒魔法と魔法石を使ってでも首謀者を捕まえてやる。魔法……石……。


「邪魔するぞ。」


「お邪魔しますぅ。」


ジャレッドの研究所へ行き、勝手にドアを開けて入った。


今は非常事態だし仕方ないよな。信頼出来るわけではないが。ジャレッドの過去の記憶を消したのは、紛れもなく私だから。


そして、その過去を知っていながら私は、墓を長年放置し続けた。


「大魔法師様……!!これは、一体?」


「反乱だ。だが、容疑者が余りにも多い。ジャレッドは魔法使えるか?」


「は、はい!少しだけですけど、使えます。」


ルアが使えなくてジャレッドが使える……?見た感じ大部分の魔力が消えているが、犯人の可能性もある。


……あれ?こういうのってどうやって捜査すればいいんだ?私たちは警察みたいな仕事はど素人なのだが?

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