第17話 オルラの妄想

フランとジャレッドさんは、無事にアムアに帰ってきた。


ジャレッドさんはご褒美として、師匠がまだ公開していない魔法の数式と、魔法の稽古をつけてもらったらしい。


ジャレッドさんは、師匠のおかげで最上級魔法を全て使いこなせるようになった。


そしてあたしは……解読魔法を使えるようになった。


解読魔法は初級魔法の1番下。フランやジャレッドさんにはまだ遠く及ばない。


今日はコーデリアの家に来た。


「こんにちはー!」


「だから、おれのオルラちゃんに近づかないでくれる?この前はコーデリアに会いに行っておれとは会えなかったんだけど。」


うちに来る前に会ったら良かったでしょ?時間はあったはずだけど。」


コーデリアの家には、フランも居た。ソファーに座って何やら揉めてる。


これは……痴話喧嘩だ!!昔お兄様から聞いた!!恋人同士の喧嘩だって!!


「おれはジャレッドと一緒に行きたかったから時間はなかったんだよね。残念なことに。」


「アンタ、口を開けばジャレッドばっかりでうるさいんだけど。貴族出身で元後継者なんだったら、私みたいに独立したら?」


「おれとジャレッドが仲良すぎるだけだよ。ジャレッドはおれが大好きだからね。」


痴話喧嘩の内容が……フランについてなのかな?それともジャレッドさんについて?喧嘩についていけない!!


それにしてもこの2人、喧嘩するほど仲が良かったんだ。師匠は知らなそうだったし、あたしが2人を応援しよう……!!


「ちょっとお姉ちゃん、お客さんが居るのにおもてなししないでなに喧嘩してんの?大魔法師様のお弟子さん、玄関にずっと立ってて可哀想だよ。」


奥の階段にいたコーデリアそっくりの女の子があたしを憐れんだ目で見つめた。


「「え?」」


コーデリアとフランがこっちに振り向いた。しかも同時。やっぱりカップルなんだ!!


あたしの他にも子供が!きっと「お姉ちゃん!」とか可愛い声で言われるんだろうなぁ。男の子かな?女の子かな?


「オルラ!気が付かず、すみません。」


コーデリアはひざまづいて、あたしと目線を合わせた。本物の騎士みたい!カッコイイ!


「オルラちゃん、来てたんだね。コーデリアの家に。こんなところよりも、おれの家に来た方が良かったのに。」


「なんで客人のアンタが出迎えるの?リリアなら分かるけど。」


「妹ちゃんの代わり。妹ちゃん、足が不自由なんでしょ?だからおれが妹ちゃん役!」


コーデリアって、妹さんがいたんだ……。リリアさん。足が不自由なのに手すりに掴まって立ってる。すごい。


コーデリアとフラン、もう結婚してるのかな?これからかな?2人ともまだ付き合いたてな気がする!


「結婚する時にはあたしも招待してください!!」

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