第14話 フランの家族
「あーあ。その日になっちゃった。結局リリアちゃんにも会えなかったし。」
「出発するぞ。」
小さな船に食料と生活必需品を詰め込み、乗り込んだ。
食料庫を開けた時は、大魔法師様の好物であろうはじかみが大量に積まれていた。
「これを食べて実験頑張れってことなんじゃない?」
「そうかもな。」
でもこれはそのまま食べるものじゃなくて魚とかと一緒に食べるものじゃ……。
深く考えた方が負けかな。
シャキシャキ
あんまり辛くないや。というか、味をあまり感じない。そろそろかぁ。
老化は外見だけじゃなくて中身も遅くしてくれたらいいのに。
「……オルラちゃんに会いたいなぁ。」
「アムアに帰ってくるのは最低でも2ヶ月後だぞ。」
「分かってるよ。……船って意外と退屈なんだね。」
周りは海と空しかない殺風景で、これといった遊び道具もない。
海賊やサメが襲ってくる訳でもなく、大陸から逃れた人も居ない。何も無いからか
「溜めに溜めた研究か魔法の勉強でもやればいいだろ。」
「研究は面倒だからちょっとなぁ。勉強は嫌いだし……。」
おれは地道に魔法を上達させないでも天賦の才があるし、なぜか勉強は好きになれない。
実技がおれに向いてるし、おれ自身もそっちの方が楽で好き。最上級魔法は魔力の消費が激しすぎるから例外だけど。本当に魔力が可哀想だよ。
そういえば、おれの住んでた領地って、どんなところなんだろ。何にも覚えてないや。
「オルラちゃん……コーデリアに会いに行ってなければ少しでも話せただろうに。」
昔に1度だけ会った時のコーデリアは気が強くて、騎士……みたいな人。おれとは真逆の存在だったなぁ。
そんな人におれのオルラちゃんを取られるなんて……なんでオルラちゃんはあんな魔女に会おうとしたんだろ……。
「モノクロ。」
「その名前辞めろ!俺様はシロフクロウだから黒じゃない!」
「うるさいな。モノクロは単色のことで、黒を指してる訳じゃないから!」
「その言葉はもう1万回以上聞いたぞ!」
おれの家族、モノクロ。一応魔法は使えるけど、人間と構造が違って消費が激しいから、おれの翻訳魔法で人間の言葉を話している。
オルラちゃんと初めて会った日におれとジャレッドが使った魔法。喉に手を当ててたやつ!
「モノクロ、おれ、退屈が嫌い。油っこい食べ物も、愛も嫌い。」
「俺様と出会った時、既にお前は前の記憶を失ってた。だから俺様はお前の過去など知らない。」
おれだって知らないよ。
船の揺れが居心地悪かった。だからモノクロを抱き抱え、寝室に向かった。昼寝がしたい。
そして、何事もなくフェートン王国に着いた。
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