第13話 魔法の才能

「……コーデリアさんは、魔法使いじゃなくて騎士なんですか?」


「コーデリアで良いです。……昔は女騎士を目指してました。」


アムアに住み始めて、すごい魔法使いの中でコーデリアが初めて過去を話してくれた。


フランとも偶に話していたけれど、一度も過去について話してはくれなかった。


「あたしも敬語は不要です。オルラと、呼び捨てでも良いです。」


「ですが、仮にも私は騎士を目指していた身。少しでも騎士らしく振る舞わせてください。」


「あ……はい。」


「……外で話すのも寒いだろうし、とりあえずうちに入ってください。チョコレートミルクでも作りますよ。」


確かに、段々暖かくなってきてはいるけど、ここはまだ肌寒い。


カッコイイ部屋だった。大陸の剣が沢山壁にかけられてる。かなり盛るけど、999本はあるんじゃないかと思うくらい沢山ある。


「どうぞ、。うちはティーカップしかないから、量が少ないって泣かないでください。」


「あたし、そんな子供じゃありません!!」


花柄のティーカップがオシャレ。食器だけ見ると、コーデリアは騎士じゃなくて、貴族のお嬢様みたい。


チョコレートミルクは、暖かくて、甘い。生クリームを乗せたら、もっと美味しくなりそう。


「どうやって作ったんですか?」


「チョコシロップに温めた牛乳入れて混ぜただけです。」


簡単!いつか師匠にも飲ませてあげようかな。これ美味しいもん。今まであたしでも飲んだことのない味。


コーデリアとも仲良くなれたし、チョコレートミルクをあたしが作ったら師匠もきっと喜んでくれるよね!


「オルラは本気で魔法使いになりたいのですか?」


「はい!」


「才能が無くてもですか?」


コーデリアは深刻そうな顔つきで言った。


才能なんて、あたしには……。お兄様みたいに頭が良くもないし、運動神経が良い訳でもない。


唯一の才能だと思うのは顔。美人で有名なお母様の血を濃く受け継いだお陰で、みんなから可愛いって言われる。


ルアさんも、ジャレッドさんも、フランも、あたしには才能が無いって言っていた。


師匠だって、才能が無いって言っているようなものだった。


「元々あたしに才能はなにもありません。」


「そうですか。魔法は努力でどうにかなる代物ではありません。後から魔法使いになれる者は極一部です。」


きっとコーデリアもその極一部の人なんだろうなぁ。女騎士を目指してたって、言ってたし。


チョコレートミルクを飲み終え、テーブルにティーカップをそっと置いた。


「……長居するつもりはありませんし、今日はもう帰りますね。また仲良くしていただけたら嬉しいです!」

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