第10話 王宮とアムア
アムアでの魔法の勉強は、言語教育から始まった。アムアでは、基本的に皆アムア語で会話するから、弟子にもそれを叩き込まなければならない。
大陸の言葉を取り入れていて、簡単だったからか、2週間くらいでマスター。弟子が意外と優秀だった。
「魔法は魔力というエネルギーを体の1箇所に集中させて……上級魔法の頂点に君臨する魔力封印魔法が……」
魔法の授業で1番難しいと感じたのは
「……??」
まだ7歳という幼子が理解できてないところを説明できるような口が私にはないということだった。
私に期待しかしていないジャレッドにこんな状態で魔法の稽古を付けたら……どんだけ落ち込むかは計り知れないな。
「なにか質問はあるか?」
「あっ、授業には関係ないのですが、『がいか』ってなんですか?」
……フランクリンだな?絶対。それにしても子供にまでお金をせびるのか。
「外国のお金のことだ。」
「お金なんですね!そういえばあたし、フェートンのお金持ってきてます!」
「フランクリンにあげたらどうだ?きっと大喜びだぞ。」
フランクリンは大陸に行かないし、お金もあまり使わないくせにお金を集める。その理由が私には分からない。アイツは研究もサボるし。
まあいいや。今は弟子の教育に専念しよう。仕事もルアがほとんど引き受けてくれてるからな!!
弟子に瞑想をさせてみても、なにか考えているというのがよくわかる。よだれがダラダラ垂れているからきっと食べ物に関すること。
そういえば好きな食べ物とか聞いてないな。後で聞いてなにかの記念日に作ってやるか。魔法を使えば料理なんて簡単だからな!
そしてなによりも致命的なのは、生活する上で必要な、着替えや歯磨き等が弟子は全く出来ないということ。
アムアに使用人はいないから身の回りのことは自分でやらなければならない。弟子は一応王女だし、幼い頃から使用人に世話ばかりされて育ってきた。
「師匠、この魔法使いの階級ってなんですか?」
「魔法使いの実力をグラフ化したものだ。見習いレベル、初心者レベル、中級者レベル、上級者レベル。」
「あたしは今どこですか?」
……本当に見習いレベルって紛らわしいな。
これはあくまで魔法使いのレベルであって、魔法をまだ全然使えない人は階級の中に入ってない。
でもこれはなんだか言いにくいよな。自分がランクインと思っている奴ほど事実を知った時の落ち込みは深くなる。
……適当に言えばいいかな。なんとかなるっしょ。
「魔法を使えるようになったら、いずれ嫌でも自身の脳に刻み込まれる。今はアムアの人間と親しくなればいい。」
間違ってはいないからな……。
「そうなんですね、あたしも努力しなくちゃ!」
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