第9話 可愛い。
「ただいまです!!」
「おかえり。なにかする前にまず水を飲んでおけ。」
2人とも酷く疲れてる。王女……オルラちゃんちっちゃい。可愛い。
オルラちゃんは渡された水筒から水を飲んだ。可愛い。口に入らなかった水がドレスに零れてる。可愛い。
大魔法師から説明をもらった時は驚いた。まさか王女が自ら魔法使いになりたいって言って、あの大魔法師が直々に魔法を教えるんだから。
長生きはするものだね。まだ90歳だけど。オルラちゃんは7歳だったっけ?可愛い。
「魔法使いに会わなかったか?」
「あっ、フランとジャレッドさんに会いました!」
フランはともかく、よりにもよってジャレッド!!?フラン、ジャレッドを
今頃拗ねてるジャレッドにひたすら話しかけてるだろうな。何だかんだ仲良いもん。あの2人。
「フランクリンとジャレッドとは、大当たりと大ハズレを同時に引いたな。」
「え?」
まあフランは大当たりで間違いないだろうね。お金に目がないだけで結構話しやすいし。
記憶は無くても貴族の感覚がまだ残ってるのかな。
「それより聞いてください!フランとすごく仲良くなれたんです!ジャレッドさんとはそんなにですけど……」
「まあ、そうだろうな。フランクリンが居て良かったな、弟子。」
「はい!」
オルラちゃん多分意味を理解してないね。ジャレッドの恐ろしさをまだ知らないんだ。
大魔法師のためならなんでもするあの猛獣の恐ろしさを……。
「大魔法師、そろそろジャレッドの願いを叶えてやってもいいんじゃないですかぁ?」
「いや、もう少しだ。もう少ししたら使えるようになる。その暁には……」
ジャレッドが使えるようになるといえば、古代魔法とかかな。古代魔法が復活すれば、アムアの魔法技術はさらに進歩する!
これは大魔法師なりの気遣いなのかな。アムアに対する。ジャレッドはジャレッドに対する気遣いを期待してる訳だけど。
「だが、それと同時に最近のジャレッドは妙に怪しい。ジャレッドはよく熱を出している。」
「魔法使いは体が魔力で守られてるから熱は全く出さないはずですけどぉ……」
「そうだ。ジャレッドも当然、体が魔力で守られているはずから、こんなことは有り得ない。」
というか普通に大魔法師って怖いな。滅多に会わない1人の国民にこれだけ詳しいなんて。
アムアで1番アムアの情報に詳しい僕も初耳だから噂とかじゃないし。
まさかこっそり調べて……?国民1人のためにそんなことするなんて……相当気に入ってるんだろうな。ジャレッドのこと。
「では、ジャレッドについて調べてみますねぇ。」
「ああ、頼んだ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます