第7話 なにかが違う
「ジャレッド、オルラちゃんに一方的に嫉妬したら、オルラちゃんと仲良くなれないよ!」
「うるせぇ。身分と権力で大魔法師様の弟子になった小娘なんかと仲良くなりたくない。」
ジャレッドはおれより5つ年上。おれたちはまだまだ若いけれどアムアの中でも高い実力を持っている。
そして、その影響もあってか大魔法師様の補佐官、ルアとよく話す。
ルアの話によると、大魔法師様はジャレッドの才能と努力を高く評価しているらしい。それ以上のことは聞いてない。
「あんな小娘と仲良くなったからって大魔法師様に認められるわけじゃない。」
「そんなだからルアにプライド高すぎるって言われるんだよ。ジャレッドは己よりも実力のある魔法使いにどう思われたいの?」
「ルアの意見なんて心底どうでもいい。」
ジャレッドはいつも焦っている。大魔法師様には高く評価され、認められていることは既に知っているはずなのに。
なぜ大魔法師様に見放されるリスクを犯してまで、使い続けるのか。おれにはよく分からない。
おれはジャレッドの秘密まで知っているのに、おれとジャレッドはなにかが違う。
「フラン、おれは古代魔法の復活のために大陸に行く。だから……」
「大陸?おれも行きたい!」
「……勝手にしろ。」
言葉は冷たかったけれど、ジャレッドの耳はほんのり赤らんでいて、照れているのが分かる。ツンデレなんだから。
「一緒に大魔法師様から許可をもらいに行こ?」
「……別に俺1人でいいし。」
「おれがオルラちゃんに会いたいから!」
オルラちゃんの名前を言うと、ジャレッドは怒り感じていた。でも、おれを気遣ってのことか隠してる。バレバレなのに。
ジャレッドは明確な目的があってアムアに居る。オルラちゃんに飽きたら離れるおれのような遊びでもない。
ジャレッドの研究所に着いた。おれは研究所のソファーに寝転がって寛ぎ、ジャレッドはなにかの研究を始めた。
「ジャレッドも、オルラちゃんと仲良くするんだよ?」
「まぁ、フランがそこまで言うなら……。仕方なくだがよ。」
「ふっ……ぷはは!!あれぇ?もしかしてジャレッド、おれのことが大好きなのかな?」
研究を中断したジャレッドが咄嗟に振り向いた。その顔は赤鬼みたいに真っ赤で、子供みたい。
ジャレッドがこんな顔をするとは今まで思えなかった。面白くって、笑いをこらえるのに必死になった。
人間はそう簡単に好き嫌いが変わることはないのは、知ってる。オルラちゃんが、今も気に入らないって思ってるのも。
「……親友としては……だ、だだ、だい……す……き……」
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