第1話 嫌々弟子をとる

10年前のこと。


「あたし、魔法使いになりたいんです!なので、あたしを、大魔法師様の弟子にしてください!」


小さな幼子がモジモジと緊張しながら、頭を下げて大声でそんなお願いを言った。


幼子は大陸に影響力を持った国、フェートン王国の第4王女。


フェートン王国の王族を一言で言えば、シスコン。これに尽きる。


「オルラ!!陰気な国の大魔法師に頭なんて下げんな!」


「オルラ、魔法使いにならなくとも、このマキシミリアンお兄様が守ってあげるよ。」


「オルラ、当てにならない兄上たちよりも、僕を信用してくれるよね?」


ほら、群がってきた。猫なで声で恥ずかしげもなくシスコン発言をし、王女の頭をくしゃくしゃになるまで撫でて、私を睨んでくる。


この失礼極まりない王子の言う通り、私は『魔導国アムア』を治める大魔法師。


今日は王女の7回目の誕生日、らしいから嫌々パーティーに来ている。


「王子様方も反対していることですし、王女様は王宮で箱入り娘として育ったほうが……。」


「あたし大魔法師様みたいに立派な魔法使いになって、お兄様とお父様とお母様を守りたいんです!」


私の仕事を増やさないで。頼むから。ほら、王子もなにか言って……


王子たちの方を見ると、目をハートにして、王女にメロメロ。ダメだ王族こいつら。マトモな奴が居ない。


「僕はオルラを応援するよ。」


「……本当ですか!?だ、大魔法師様、あたしを、弟子にしてくれますか?」


王子たちが鋭い目つきで私を睨みつけてきた。「」とでも言うような表情が腹立つ。


「……もちろんです。王女様が立派な魔法使いになれるように尽力致します。」


今すぐにでも断りたい……!!!


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