舞台に立つ前に

フィステリアタナカ

舞台に立つ前に

 みなさんが合唱コンクールなどの晴れの舞台に立つ前には、練習をたくさんすると思います。


 元読売巨人軍の川相昌弘選手は送りバント(犠打)の職人と呼ばれるくらい、バントの成功確率が高かったです。その川相選手の言葉で印象に残っていたのは、


「打席に立つ前に送りバントが成功するかどうか決まる」


 という言葉でした。単に送りバントの練習をするだけではダメだと。相手チームの先発から抑えまでのピッチャーの持ち球。キャッチャーのリードの仕方。ありとあらゆるケースを調べて、対策をする。プロでは当たり前のことかもしれませんが、バントを求められたときに、川相選手が九割以上バントを成功させたことは並大抵のことではないと思います。ヒットや四球など出塁を求められたときに九割出塁できる選手はいないでしょう。この送りバントの成功率というのはすさまじいことだと思います。


 私はバンドでドラムを叩いてライブをしたことがありますが、練習を必死にやりましたね。体で覚えるまで叩く。あるバンドでドサ回りをしてライブをしたときに熊谷のライブハウスで東北で携帯会社のCMに曲が採用されたバンドと対バンしたことがあります。控室ではヴォーカル(プロデュース)の人がドラム(指揮者)の方とその日のライブ進行について綿密に打ち合わせをしていました。「ああ、ここまでやるのが当たり前なのか」と当時、思った記憶があります。


 お客さんに観てもらうこと。誰かを惹きつけることというのは、誰も見ていないところで誰にも気づかれずに人生の時間を捧げていることなのだと思います。


 身体能力や容姿などは人それぞれ違います。けれど時間は誰にでも平等です。その時間を他のことに使わずに魅せるためだけに使うことは、気高きことなのかもしれません。

 人生は一度きり。あなたは何に自分の時間を使いますか?

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