第8話『有罪です』



 俺はダンジョンでの仕事を終え、スーパーに寄っていた。

 かごに、高級な和牛や刺身の盛り付けなどを入れていく。


「今日は、奮発しよう」

 

 仕事をしたんだ。贅沢しても罰は当たらない。

 ルンルン気分で買い物をしていると。

『スマグリ』がチャリリンと鳴る。

 俺はポケットから『スマグリ』を取り出す。

 SNSである『ロイン』を開き、見てみると。

『助けてください!』

 エレナからのメッセージである。俺は急いで、店員に籠を渡す。


「お、お客様!」

「すまないが、購入しない」

 

 そう言い残し、俺はスーパーから出る。

 俺は探知魔法Ⅲを使う。探知範囲、半径50キロ。


「マンションか!」


 俺は転移魔法を使う。



 俺とエレナのマンション部屋のリビングに転移。


「こんな事、してよいと思ってるんですか!! 悪魔だからって、何をしてもい、いいわけじゃないのです!!」


「も、申し訳ありません!!」


 フローリングの床で正座し、謝罪するディアナ。

 そして、猛烈にキレるエレナがいた。


「おい、どうしたんだ?」


 ディアナはビクッ! とし、恐る恐る、俺の方を向く。

 エレナは鬼の形相から天使の笑顔になる。こちらに手を振る。


「何があったんだ?」

「この子、盗聴してたんですよ?」

「盗聴だと!?」

 

 まさか、ディアナが??


「お前、盗聴なんて、してたのか?」

「……はい」


 彼女は涙をボロボロ流しながら、頷く。


「お前なぁ!! そんな事をして、いいと思ってるのか!!」

「申し訳ございませんでした!!」


 彼女は俺に向かい、正座し、床に頭をこすりつける。


「エレナ、経緯を説明してくれ」

「わかりました」


 エレナは説明してくれた。テレビの放送を視聴し、盗聴されているか確かめてみたくなった事。友達にプレゼントしてくれた盗聴器で確かめた所、居間や自室に盗聴器を検知し、仕掛けられたを知った事。そしたら、犯人の疑いがあるディアナが勝手に部屋に入った事。彼女は、あろう事か、記憶操作系の魔術を行使し、エレナの記憶を消そうとし事。エレナはそれを防ぎ、逆に返り討ちにした事。そして、今にいたる。


「エレナって強いな!」


 ディアナは俺の近衛隊副隊長である。かなり強いハズだぞ?

 さすがはハイヒューマン。彼女は強いな。


「ダイ様に加護や、いろんな施しを受けたからですよ?」

 エレナは顔を朱に染め、もじもじ、し始めた。

 確かに、彼女に俺の加護を与えたり、日々、ちょめちょめした効力で彼女はだいぶ、強くなった。強くて美人。

 やっぱり、彼女を側室に迎えるべきだろうか?


「ディアナ。面をあげよ」

「は、はい!」

「お前に罰を与える」

「はい! どんな罰でも受ける覚悟があります!」

「よし、じゃあ、立て!」

「はい!」

「ダイ様!」

「エレナ、すまなかったな。こんな事になって。俺の監督不行かんとくふゆとどきだ。反省してる」

「ダイ様……」

「ディアナ。服を脱げ」

「はい!」


 彼女は服を脱ぐ。それも、下着も。

 そこまで脱がなくてもいいんだがな。

 まあ、いい。


「ディアナ。お前がやった罪をいえ」

「大魔王様とティアナさんの部屋に盗聴器を仕掛けました」

「お前は有罪ギルティだ」


 俺は彼女の腹に手をかざす。


「《隷属の刻印Ⅹ》」


 俺は彼女の腹に、刻印を刻みこまれていく。


「それは!」


 彼女はどういった魔術なのか知っているのだろう。

 驚きを隠せず、止めるべきか迷いの意志を感じた。

 彼女は優しいな。犯人に同情心が湧くとは。

 髑髏をかたどった、複雑な文様が彼女の綺麗な肌に刻みこまれた。


「はい、完了。ディアナ、服を着ろ」

「はい、ダイ様」

 

 彼女は俺の言うとおりに、服を着始める。


「エレナ」

「は、はい!」

「俺は彼女の所有権を持ったが、エレナにも持たせた。もし、ディアナがエレナに危害を与えようとすると、術が発動し、ディアナに罰を与える事ができる」

「私にも所有権が?」

「ああ、そうだ」


 ここまですれば、エレナの気が晴れるだろう。


「できたら、エレナも彼女を調教し、手懐けて欲しい」

「ちょ、調教!」


 彼女はぎょっとし、口をパクパクさせる。


 おや、引いてるのか?


 だが、これくらいしないとエレナが安心して暮らせないだろ?


「これでいいか? エレナ」


 彼女はハっとし、呼吸を整えた後。


「は、はい! すっきりしました!」


 いつもの天使スマイルに戻った。


「よかった」


 これで、一件落着だな。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る